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夜の谷を行く [読書日記]

桐野夏生さんの新刊。1972年の連合赤軍事件から2011年の東日本大震災まで。学生運動、左翼の活動が活発だった頃、闘士として山中のアジトで事件に関わった女の40年後を描く。

リンチ、総括といった言葉が有名になった事件。裁判では、主犯とされた永田洋子死刑囚の嫉妬が大量殺人を招いたとされたが、実態は違ったのではないか。革命戦士を子どもから育てるため、女たちが集められた話や、永田死刑囚が大震災の直前に病気のため獄中死したことを知った。

「抱く女」が桐野さんの自伝的小説とすれば、今回の作品は同時代を生きた女として、革命を夢見た女たちがなぜ道を踏み外してしまったのかを歴史ドキュメントのタッチで描いたものだ。文中にも出てくるが、2011年の大震災を境に、日本は変わったと思ったこと、変わると感じた時代の空気は今、どこに行ってしまったのか。作品を読んであらためて考え込んだ。

夜の谷を行く

夜の谷を行く

  • 作者: 桐野 夏生
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/03/31
  • メディア: 単行本



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