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城塞 [シネマ&演劇]

新国立劇場の「かさなる視点-日本戯曲の力」シリーズ。安部公房作。満州からの引き揚げ体験がある氏が昭和30年代に書いた戦後を見つめる作品。あの名作「砂の女」を同じ年に発表していると聞き、劇中に出てくるストリッパーの女が砂の女のイメージと重なった。


劇中劇で、主人公の男の父は戦争成金という設定。今でいうPTSDか、引き揚げ体験がトラウマとなり、気が狂い、酒を飲んだときだけ、まともな会話ができる。ただ内容はいつも引き揚げ時の話。高度成長のまっただ中、だれもが戦争のことは忘れて、カネもうけに夢中になっている。でもよく考えると、それは戦争の犠牲者の上に成り立っているのではないか。


かつてノーベル文学賞に一番近い日本人作家といわれた安部公房の視点は、まったく古びていない。饒舌すぎない、しっかりとした台詞。革新的な手法は、永遠の前衛といえる。上村聡史演出。山西惇、たかお鷹、辻萬長、松岡依都美、椿真由美。


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