セラピスト [読書日記]
最相葉月さんのドキュメンタリー。河合隼雄、中井久夫という心理学と精神医学の大家の足跡をたどり、心の病の治療最前線を描く。
通常カウンセラーと患者という名称を使いがちだが、作品ではセラピストとクライエントと呼ぶ。
箱庭療法の良さは、言葉でカウンセリングできない人と物語を共有できること。日本人は西洋のように物と心を区別しなかったから、心だけを採り上げて言葉にするのが苦手。言葉でカウンセリングできない人と物語を共有できる箱庭は、日本人向きだという。
かつて多かった対人恐怖症はごくまれになり、その代わりに「引きこもり」が増えた。悩めない、悩みが何なのか分からない若者が増えていて、ただムカっとする、主体性が希薄なケースが多いという。時代とともに心の病も変わってきている。
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