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リベラルという病 [読書日記]

コンサバか、リベラルか、と問われれば、自分はリベラルと思っていた。だが、この本を読むと、米国のリベラルと日本人の考えるリベラルにはかなり違いがあるというのが分かった。


リベラルという宗教、最高裁判事という権力者、揺らぐ家族像という3つの章で、米国の歴史と現実を解説しているが、一番面白かったのは最初の章。「人種間の平等」という大原則が、性的、性指向的、いかなる意味でも少数者を差別しないポリティカル・コレクトネス(PC)に発展。どんな私的な空間でもわずかなことでも差別に対しては決して許さない「ゼロ・トレランス」が社会を息苦しくさせているのではないか。そうした現状に不満を持つ人がトランプ支持を拡大させた背景にもあるという。


リベラルという語感には自由なイメージがあり、個々の判断を尊重するイメージがあったのだが、実は主張に反するものには不寛容であるというのが意外だった。むしろコンサバの方がある意味で寛容な面があるという。外交を例にとれば、リベラルは「米国の民主主義を世界に広める」を旗印に積極介入する。コンサバは自国の利益が第一という判断。


著者の山口真由さんは東大出の財務官僚で米国で弁護士をしていた。最後の章の日本のリベラルについての分析は、まあそんなものかなという感じ。米国発のニュースを理解するには、いい一冊だと思う。


リベラルという病 (新潮新書)

リベラルという病 (新潮新書)

  • 作者: 山口 真由
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/08/09
  • メディア: 新書

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