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完本 麿赤兒自伝 [読書日記]

「快男児 麿赤兒がゆく」を改題した文庫版。憂き世戯れて候ふ、とのサブタイトルがつく。土方巽や唐十郎、寺山修司らとの出会い、貧乏だけど舞台に情熱を注ぎ、酒を飲んではけんかをした青春の日々。状況劇場の看板役者から舞踏の世界に足を踏み入れ、現在も舞踏集団「大駱駝艦」を率いる麿さんが語る半生記が面白くないわけがない。


それにしてもアングラの熱気あふれる60年代。あの時代に新宿あたりで学生していれば、きっと自分も熱病に冒されていただろう。金稼ぎのため各地のキャバレーで金粉ショーに出演していた話など、昭和ノスタルジーだなあ。巻末の大森立嗣監督、大森南朋との親子対談もなかなか楽しい。


ことし旗揚げから45周年という大駱駝艦の舞台は、昨年世田谷パブリックシアターで初めて観た。異様でエロティックな白塗りの男女が統制のとれた動きで、ストーリーを形作る。バックグランドに流れる音楽に身体をまかせ、踊ることによって、それが意味をなし、世界を表現する。ただ舞踏を観るだけで、果たして意味が分かるだろうか、などという心配は杞憂だった。身体表現だけの舞台だから言葉の国境を越えて、欧米でも理解される。むしろ国外での評判が高いのもうなづける。


完本 麿赤兒自伝 - 憂き世 戯れて候ふ (中公文庫)

完本 麿赤兒自伝 - 憂き世 戯れて候ふ (中公文庫)

  • 作者: 麿 赤兒
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/08/22
  • メディア: 文庫



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