あゝ、荒野 [シネマ&演劇]
寺山修司の唯一の長編小説の映画化。期待して観に行った。2021年、東京五輪が終わった翌年の設定で、新宿という「ネオンの荒野」であがく若者のせつなく峻烈な青春を描く。岸善幸監督。
菅田将暉、ヤン・イクチュンのダブル主演。「新宿新次」と「バリカン建二」、母の愛に飢えた二人が、孤独から抜け出すためにボクシングに打ち込む。菅田の爆発的な暴力、ヤンの抑圧された感情表現。対照的な演技が光っている。
脇を固める配役もいい。片目役のユースケ・サンタマリアのやさぐれ感と、いい加減っぷり。木村多江の訳ありな母親役もはまっている。
たまたまピカデリー新宿で鑑賞したが、映画の舞台ど真ん中で作品を見るというのはなかなかおつだ。終映後、外に出ると歌舞伎町のネオンが輝いていた。人並みにもまれながら、しばし映画の世界に浸った。後編も見るべし。
ひとりぼっちのあなたに・さよならの城・はだしの恋唄 (For Ladies)
- 作者: 寺山 修司
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2004/05
- メディア: 単行本
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