銀河鉄道の父 [読書日記]
門井慶喜さんの直木賞受賞作。父親から見た、あの宮沢賢治の物語だが、作品は知っていても賢治のことをあまり知らなかったこともあり、童話作家の意外な一面を知った。
岩手・花巻の宮沢記念館を訪ねた際、賢治の日蓮宗への信仰のことを知った。しかし、質屋で地元の知名士だった父に金の無心を繰り返したりしたことなど、知らなかった。妹への愛情、父への反発、文学への思い。故郷イーハトーブへの思いの一方で、東京の出版社から本を出したいと願う。
天才的な文学の才能があっても、賢治にはごく普通の感情があったのだ。家父長制、家制度が確固としてあった明治の時代。その時代に生み出された物語が今なお読み継がれている、そのことに改めて感銘を受けた。
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