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江戸東京の明治維新 [読書日記]

国立歴史民俗博物館の横山百合子教授の岩波新書を読んだ。考えてみれば、わずか150年前のことなのに、市井の人々がどんな暮らしをしていたのか、よく知らない。映画やテレビの幕末ものは、いわば権力闘争であったり、国のかたちをどう作っていくかが、志士たちの活動を中心に語られることが多い。

「150年前の胸に刺さる現実」という帯に惹かれて手に取った一冊だったが、歴史に名を残さぬ人たちの日常を垣間見ることができた。特に遊廓や屠場で働く人たちのエピソードは知らないことばかり。いなりと巻き寿司を組み合わせた寿司を「助六」と呼ぶのは、遊郭を舞台にした歌舞伎「助六由縁の江戸桜」の主役助六と遊女の揚巻にあるという小話に、へえと感心。江戸の庶民にとって、いかに遊郭が身近にあったかを物語る。

賎民層を支配した弾左衛門の存在も初耳で、人々が嫌がる仕事を任せる代わりに、そのまとめ役には特権を与える。そうした統治のやり方が、その後の差別に繋がっていったことが理解できた。

江戸東京の明治維新 (岩波新書)

江戸東京の明治維新 (岩波新書)

  • 作者: 横山 百合子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/08/22
  • メディア: 新書

 



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