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春画と日本人 [シネマ&演劇]

文化記録映画「春画と日本人」の試写を見た。2015年9月に東京文京区の永青文庫であった、わが国初の春画展開催までの道のりと、それに関わった人たちの熱意を描く。英国の大英博物館で開かれた大規模な春画展は大変な反響で、日本伝統の「アート」として評価された。それが日本国内では、いまだに猥褻物扱いで、公立の美術館等では開催拒否されているという。

確かに男女の性器があからさまに描かれているのだが、ネット上などにポルノが溢れている現状において、現代人の感覚ではいやらしさの度合いはソフトだ。公序良俗に著しく反するとは思えない。江戸の庶民の楽しみとして出現し、かつては嫁入り道具の一つとして持たされた歴史もあったという。維新後の薩長政府が取り締まるまでは、性におおらかな日本社会だったのだ。時を経て春画もアートになった。無粋なことは言わず、東京国立博物館あたりで大規模展をいつか開いてほしい。

以前、福岡市美術館であった展覧会で春画コーナーが設置され、見に行ったことがあった。未成年は立ち入り禁止。レンタルビデオ店のアダルトコーナーのような建て付けで展示してあったが、公立施設の展示ということで結構な話題になった。政治的なメッセージが問題視されて一部展示が中止となったあいちトリエンナーレとは事情が違うとはいえ、税金を使った公的施設での展覧会のあり方を問うという意味では、同じではないか。芸術作品を広く公開し、多くの人の鑑賞してもらう。判断するのは見る人。多様な意見に寛容な社会でありたい。

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