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JR上野駅公園口 [読書日記]

柳美里の著作、全米図書賞(翻訳文学部門)を受賞したというので読む。青春五月党という劇団を立ち上げ福島で書店を開いたりしている活動に以前から興味を持っていて、いつか尋ねてみたいと思っていた。作品は、休みの日によく歩いて美術展などに行った上野恩賜公園が舞台で土地勘があるのもあって懐かしく読んだ。

山狩りというホームレス一掃の日と皇室行幸啓。これが物語の一つのきっかけになったらしい。平成天皇と同い年で、今の天皇と同じ日に息子に恵まれた、福島の出稼ぎ男性の人生を、家族に先立たれていく「運が悪い」人生を描く。人々に向き合う、国民に寄り添う天皇と言いながら、ホームレスは視界に入らないように排除される、この国の現実。東日本大震災、福島原発事故が炙り出した、東北への仕打ちを静かに告発している。

相馬の真宗の住職の話、人が亡くなるのは忌むことではなく、仏になり我々を守ってくださる菩薩となるのですというくだり。南無阿弥陀仏、真宗の教えらしいが、このスピリチュアルな世界が地域で受け継がれていることが一番印象に残った。


JR上野駅公園口 (河出文庫)

JR上野駅公園口 (河出文庫)

  • 作者: 柳美里
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/03/03
  • メディア: Kindle版



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