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虞美人草 [読書日記]

夏目漱石の「虞美人草」を読了した。Kindleの青空文庫で読む。漱石が朝日新聞にいた頃、連載したデビュー作。一字一句にこだわって書いたという、その力の入れようが伝わってくる作品だった。

虞美人は、四面楚歌の故事で知られる古代中国・楚の項羽が愛した美しき姫。ヒナゲシの別名。恋愛、結婚をめぐる、明治の時代の知識人、エリートのすったもんだのストーリー。京都から東京の名所の様子が紹介され、上野・不忍池の博覧会開催など世相が織り込まれている。

お話は、悲劇的な結末を迎えるが、嫁に行き遅れるだの、母の面倒は誰がみるのかだの、根本のところは今もあまり変わってない気がする。作品の背景にある家制度や男尊女卑の考え。ジェンダー平等が言われる今の世の中ゆえ、「それはないだろ」とツッコミながら味わえる名著だと思う。
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