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日本の歴史をよみなおす [読書日記]

網野善彦さんが筑摩書房のスタッフに語った講義を1冊にまとめた文庫本。日本は農業中心の社会というイメージはどうして作られたのか、商工業者や芸能の民はなぜ賤視されるようになったのか。日本の中世の姿を分かりやすく解きほぐしている。

もともとは神や仏に仕える身だった人たち。遊女(太宰府では「うかれめ」と呼ばれた)や葬送の仕事をする人など職能集団は、権力が直接雇用していた。人が嫌う仕事がそのうち、「穢れ」の思想と結びつき差別の対象となり、蔑視されるようになっていったという。犬神人(いぬひじにん)という言葉も初めて聞いた。

女性の地位の問題も日本は女性文学が花ひらいた稀有な国であり、江戸から明治の政治権力が男尊女卑の考えを流布したという。天皇と「日本」という国号の話もなるほどと頷くことばかり。網野歴史学はなかなかに面白かった。


日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 網野 善彦
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2005/07/06
  • メディア: 文庫



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