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生物はなぜ死ぬのか [読書日記]

ねえねえオカムラ、生き物ってなんで死ぬの? チコちゃんが言いそうな問いのタイトル、純粋に生物学的に、遺伝子の企み、DNAの働きを丁寧にまとめてある。科学的にどういう意味があって生物は生まれ死んでいくのか。突き詰めると、どこかで神の介在を認めざるを得なくなるが、それでもビッグバンに始まる宇宙の歴史の中で、今人類が栄えているのだということを改めて認識する意味はある。

キーワードは多様性。気の遠くなる時間、進化の過程で偶然に偶然が重なり、人類ができたと推測する。環境に有利なものが生き残っていって、今の地球の生物相がある。今急速なスピードで多くの生物が絶滅している。それは人類がもたらした環境破壊、温暖化のせいだ。人類が繁栄する限り環境破壊は続くのだろう。そして宇宙の歴史からすれば、ほんの一瞬の輝きを放って人類は絶滅していく運命らしい。

人類の生物学的な寿命は55歳。科学の進歩で人はどんどん長生きになってきたが、どんなに頑張っても150歳が限界という。長寿国ニッポンの高齢化もそろそろ頭打ちになってきて、これからの課題はどれだけ健康年齢を伸ばせるか。老化というのは人間に特有の現象らしくて、他の生き物は歳をとることなど意識せずに生きていて、突然スイッチが切れたように死ぬという。産卵したら死んでしまう鮭、交配したら死んでしまうカゲロウにはエサを食べるための口がないという話に、心を動かされた。新型コロナで毎日、死者の数がメディアに流れる時代。死の意味を考えることは、生きる意味を考えることと同じだと思った。小林武彦著。


生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書)

生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書)

  • 作者: 小林武彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/04/14
  • メディア: Kindle版



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