SSブログ

日本のいちばん長い日 [読書日記]

半藤一利さんの「日本のいちばん長い日」を読了した。最初の出版時は大宅壮一編として世に出たが、その後加筆して「決定版」として半藤さんの名前で出版された文庫版。終戦の夏、ポツダム宣言受諾の御前会議から昭和天皇による玉音放送まで24時間のドラマ。敗戦と降伏という経験したことのない事態に、戦争指導者たちは何を考え、どう行動したのか。丹念に証言を集めて官邸と宮城の内情を描く。

特に興味深かったのは、鈴木貫太郎首相、阿南陸相の人物描写。名前は知っているが、どんな雰囲気をまとい、どういった言動を残したのか、初めて知った。ポツダム受諾のためには天皇の裁断しかないと心に決め、じっと機が熟すのを待った鈴木首相。すでに150万の犠牲を払っていた陸軍の総帥・阿南陸相は帝国陸軍の軍人たちのプライドを最低限守るために全力を注いだ。

クーデター計画が進行していて、実際に宮城の近衛師団が反旗を翻し、公共放送NHKの放送局を占拠したこと。跳ね返りの軍人が官邸や首相らの自宅を襲撃したことなど、そんな事実さえ知らなかった。陸相らは結局、自決することで責任を果たし、軍の規律を守った。戦争を始めるより、やめることがいかに大変か。終戦の日を前に歴史を振り返り、日本の進路を思う。


日本のいちばん長い日 (角川文庫 緑 350-1)

日本のいちばん長い日 (角川文庫 緑 350-1)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/08/14
  • メディア: 文庫



日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日

日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日

  • 作者: 半藤 一利
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。