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料理と利他 [読書日記]

政治学者の中島岳志さんと料理研究家の土井善晴さんの対談本「料理と利他」を読む。中島さんが東京新聞や西日本新聞で担当している論壇時評は、全国紙なども含めて今一番旬の論評だと常々思っている。その中島さんが最近テーマとしているのが、利己に対する「利他」。テレビで見る土井さんの話は共感することが多く、またとない二人によるセッションとなった。

利他と言ってもそんなに堅苦しい話ではなく、後ろの方にはポテサラや芋の煮っ転がしの作り方も出てくる。コロナ時代で家メシが多くなった人たちに家庭料理はええ加減でいいんよと説く。日本にはハレの日、ケの日があるが、普段はケハレ(日常)。ハレの料理を家庭で作らなくても良いのだと。環境の話も最初出てくるが、今回のコロナは人類が荒らした森のウイルスたちが引っ越しをしたのだと指摘したイタリアの作家の話を紹介している。アグレッシブな乱開発の姿勢を改めないと、またウイルスに接近しすぎて次のパンデミックを招く。その通りだと思う。

料理の話では、和食は混ぜるではなくて、「和える」と言うのだと。素材の味を残す、味のムラがあるように敢えて混ぜすぎないこと。それが「ええ加減」。自然に沿うハーモニーを大切にする。土井流のクッキング本が欲しくなった。


料理と利他

料理と利他

  • 出版社/メーカー: ミシマ社
  • 発売日: 2021/01/12
  • メディア: Kindle版



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