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阿久悠と松本隆 [読書日記]

稀代の作詞家、阿久悠と松本隆の軌跡を語った一冊。昭和歌謡からニューミュージック、和製ポップスへと変遷していく流行歌の世界。かつてテレビの歌番組やラジオで聴いたりした懐かしの歌を脳裏で口ずさみながら、二人が残した膨大な歌たちのストーリーを辿った。

キャンディーズ、ピンクレディ、沢田研二、山口百恵、松田聖子‥‥。レコード会社やプロダクション、テレビ局がどんな風に売り出し、展開していったのか。作詞家と作曲家がタッグを組み、歌手を育てヒット曲を生み出していったかが、当時のチャート、レコード売上枚数とともに描き出される。時代とともに歌があり、一世を風靡する大ヒット曲が生まれた時代が確かにあったのだと改めて思う。

阿久悠も松本隆も、手法や世界観は全く違うが、これまでになかった歌を世に送り出したいと書きまくった。それぞれに癖があって、阿久悠が映画のタイトルから連想して曲名をつけたり、松本隆が好んで使う「風の街」のエピソードなど、楽しく読んだ、令和の時代、日本人全てが知っている流行歌は、もはや存在しない。ミリオンセラーが出たとしてもそのアーチストのファンが100万人いるというだけの話で、1億人はおろか500万人にもその歌声は届いていないだろう。音楽は細分化されていると、著者の中川右介さんは指摘している。昭和の人間としては少し寂しい気持ちになった。




阿久悠と松本隆 (朝日新書)

阿久悠と松本隆 (朝日新書)

  • 作者: 中川右介
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2017/11/13
  • メディア: 新書



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