SSブログ

ソ連が満州に侵攻した夏 [読書日記]

半藤一利さんの戦争シリーズの一冊を読む。夏の終戦記念日の頃に戦争ものを読むことが多いが、今回はもちろんロシアのウクライナ侵攻があったから。第2次世界大戦の惨禍を経験して、もう戦争は懲り懲りだというのが世界の共通認識だと思っていた。領土不拡大の原則は戦後の共通の指標のはずだった。それでもプーチンは戦争を起こした。

スターリンは帝政ロシアの領土を取り戻すため、日露戦争の借りを返すため、しゃにむに満州へ兵を出した。日本が白旗を上げる前に不可侵条約を破棄してソ満国境を越えた。関東軍はとっとと撤退し居留民を置き去りにした。ソ連兵は略奪、暴行など悪虐非道の限りを尽くし、捕虜はシベリアにしょっ引き労働力として酷使した。血も涙もないと言われたスターリンはプーチンとそっくりだ。というか、プーチンはスターリンを崇拝しているとしか思えない。

専制政治が続くロシアという国は、昔と何も変わっていないのだろうか。言論は抑え込まれている。でも皆がスマホを持つ現代、ウクライナの戦場は度々テレビで映像として流れる。誰もが戦場カメラマンで、誰もが従軍記者なのだ。ロシアの人々が反戦の声を上げ、政権を揺るがす行動に出るときが来るのだろうか。子どもや年寄り、弱い者が犠牲になるのが戦争の常だ。どんな新兵器ができても、この悲しい事実は変わらない。




ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)

ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)

  • 作者: 半藤 一利
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2002/08/02
  • メディア: 文庫



nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。