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なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか [読書日記]

宗教学者・島田裕巳さんの新書。宗教の歴史や聖地巡礼の話に興味があり、これまでも島田さんの本を手に取ってきたが、神社をめぐるこの本も面白かった。八幡、天神、稲荷、伊勢、出雲、春日、熊野、祇園、諏訪、白山、住吉。全国の至る所に同じ名前の神社が点在している不思議の謎が解けた。

それにしても日本は本当に八百万の神の国なのだと思った。神社ごとに違う神を祀っていて、しかも1社に1柱というわけではない。神社の境内に別の系統の神社を勧請して、摂社や末社として小祠がある。古事記、日本書紀に出てくる327柱の神々はほんの一部で、外国から渡来してきたり後世の人が祀られたり、自然神が元だったりする神も多い。もともとは仏教と一体だった時代の方が長く、仏が神と習合して新たな信仰の対象となったケースも多いと知った。

明治以降の廃仏毀釈、国家神道で随分と神社のかたちも変わったらしい。天神さま、菅原道真は祟り神から善なる神へ変貌し寺子屋に額が飾られたことから別に達筆ではないのに書道の神に祭り上げられた。歌舞伎の「菅原伝授手習鑑」が信仰拡大にもたらした影響も大きかった。熊野の話では、補陀落渡海(ほだらくとかい)という衝撃的な習俗を知る。海の向こうの浄土を目指して船出する自殺行為は、井上靖が小説にしているという。久留米の水天宮は、壇ノ浦で滅びた平家の人々を祭神としていることも知った。祠があれば拝んでしまう、これはもう日本人の習性なんだろう。






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