SSブログ

失われた時を求めて〜花咲く乙女たちのかげに [読書日記]

第2篇「花咲く乙女たちのかげに」を読了する。タイトル通り語り手の主人公が乙女たちに恋する様、その心情が延々と語られる。例によってさまざまなイメージが想起され、次々と登場する人物たちが主人公に刺激を与える。

初恋の相手はジルベルト。スワンとオデットの娘だ。サロンが開かれる自宅に通い詰め、恋の喜びに浸り、やがて熱が冷める。パリのシャンゼリゼが出会いの場所で、今とは違って移動手段は徒歩か馬車。19世紀の頃からレストランがあり、それが今でも続いているといった訳注に当時の情景を想像する。花の都の歴史に思いを馳せた。

後半では、保養地での少女たちに夢中になる。アルベルチーヌが率いる一団。ブルジョアと貴族、ユダヤ人といった登場人物により、その頃に始まった格差社会や差別の構造が描かれ、それが物語の背景になっている。プルースト自身がユダヤの血を引いており、社会が発展していく中で次々と吹き出す新たな問題へ関心が高かったのがよく分かった。





nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 5

コメント 0