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わしの眼は十年先が見える [読書日記]

倉敷に紡績会社を興し大原美術館に名前を残す「大原孫三郎の生涯」と副題のついた評伝。かの城山三郎の著作である。先日行った岡山・倉敷観光の折に見つけた文庫本をさっそく読了した。


ストレートなタイトル通り、先進的な取り組みを企業の枠からはみ出して行い、孤児院や社会・労働問題研究所、病院などを次々と立ち上げた。孫三郎は、企業の本分は人を育て、地域を繁栄に導く社会貢献にありとの信念を貫き通したという。


石井十次をはじめ多彩な友との出会いを大事にし、学者や社員らを海外へ送り学ばせた。知識や経験を「自得」することが大事とし、自らはもっぱら耳学問で「不学の大学者」と呼ばれたのが面白い。地方の資産家に群がる人たちに気前よく金を出したようで、いわゆるノブリス・オブリージュを実践した人と言える。もちろん毀誉褒貶はあったろうが、明治の気骨のある人だったらしい。企業群や美術館に加え、有名な研究所や倉敷中央病院までも作った人だとは知らなかった。人との出会いの大切さを教えてくれる一冊だった。


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大原美術館のホール


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赤い屋根が印象的な倉敷中央病院


わしの眼は十年先が見える: 大原孫三郎の生涯 (新潮文庫)

わしの眼は十年先が見える: 大原孫三郎の生涯 (新潮文庫)

  • 作者: 三郎, 城山
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/05/01
  • メディア: 文庫

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