「帝国」ロシアの地政学 [読書日記]
「勢力圏」で読むユーラシア戦略との副題が付いた小泉悠さんの著作。ウクライナ侵攻前に書かれたものだが、ロシアの地政学的考え方がとてもよく分かる好著だと思った。ソ連崩壊後、ロシアの版図はどこまでなのか、ロシア自身が分からないでいる。ロシア人が住むところまでは影響圏なのか。プーチンはそうした考えのもとでウクライナに侵攻したのだと理解できた。
最も頭に残ったのは、ロシアがいう「主権国家」の定義。核を持たずに米国などの核の傘に守られている日本やドイツは主権が制限された国である。中国やインドは主権国家だが、それ以外の多くの国は自律的な主権を持たない。ゆえに交渉相手にさえならない。
北方領土のことを考えると、今のロシアのままでは1ミリたりとも返還の希望がないと思ってしまう。欧州からアジアまで長大な国境を有するロシアという国の政治的・戦略的動きを大きく捉えながら、機が熟するのを気長に待つしかないのだろうか。
「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略 (東京堂出版)
- 作者: 小泉 悠
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2019/10/25
- メディア: Kindle版
コメント 0