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ザ・ファブル [シネマ&演劇]

岡田准一主演のアクション・コメディー「ザ・ファブル」を丸の内ピカデリーで見た。人気連載マンガが原作。福岡の江口カン監督には以前から注目していたが、期待どおり痛快な娯楽作に仕上がっていた。

岡田は最近時代劇ばかりだった気がするが、今回は世間離れした殺し屋を体を張って演じた。「殺し屋」という設定自体、現実離れしているだけに、頭を空っぽにして楽しむにはもってこいの作品。相棒の木村文乃はヤンチャでセクシーな感じがハマっていたし、山本美月の可憐な役柄も良かった。

それにしても、この手のアクション映画はマンガ原作の多いこと。絵コンテにする手間が省けるのか、小説よりもぶっ飛んだ設定ができるからなのか。日テレの作品だから続編ができるかもね。
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ピロートーキングブルース [シネマ&演劇]

FUKAIPRODUCE羽衣の公演を下北沢の本多劇場でみた。深井順子プロデュース。糸井幸之助の作・演出・音楽で、オリジナルの歌と芝居の「妙ジカル」と銘打っている。

ベッドで男女が交わすピロートーク。夫婦や恋人、不倫、デリヘル。ありふれた会話を軸にストーリーが進み、舞台回しに歌とダンスが入る。

パワーのある歌声とダンス。だが、絶滅の淵にある世界にピロートーキングブルースと言われてもなあ、という感じ。ピロートークで始まったのなら、ピロートークで終われば良かったのでは。最後の歌唱は蛇足なような気がした。

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SEED〜命の糧 [シネマ&演劇]

環境問題を告発するドキュメンタリーを試写会で見た。野菜の種子が次々と消滅し、多様性が失われているという話。人々の生活に合わせて、病害虫に強いもの、収量が多くとれるものが作物として奨励され、それで淘汰されていると理解していた。だが、実際には違うということがこの映画をみて分かった。

小麦やトウモロコシなどは、いわゆる穀物メジャーによって種子が管理され、農家は種子を買わされて栽培をしているという。それぞれの土地に根付いた固有種は駆逐され、グローバル企業が生産を支配している。干ばつでも生き残るような固有種は、一握りの人たちのボアランティア的取り組みによって、細々と維持されているのみだ。

多様性が失われ、一つの種が独占的に栽培されてしまうと、感染症が大流行した場合など、世界的な食糧難を招く恐れがある。当然ながら生態系にも影響を及ぼし、人間を取り巻く環境にも多大な変化をもたらす。

映画では化学メーカーの実験場がハワイで住民被害をもたらしている話もあった。日本と違い広大な国土を持つ米国で、なぜハワイのような観光地で農薬の実験をする必要があるのか。農薬はなるべく使わず、有機栽培をとは思うが、米国企業の経営理念というものが分からない。

文化人類学者の辻信一さんは、日本でも規制緩和や民営化、自由貿易という名のもとに、グローバル企業によるタネの支配が進んでいると警鐘を鳴らしている。
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蛇姫様 わが心の奈蛇 [シネマ&演劇]

新宿梁山泊第65回公演「蛇姫様」を新宿・花園神社の特設紫テントでみた。1977年九州・筑豊田川のボタ山で、嵐の中1000人の観客を集めて行われたという伝説の演目。朝鮮半島から北九州・小倉への死体運搬船で生まれた姫の出生をめぐる物語が濃密に展開する。

唐十郎が「二都物語」ソウル公演の船旅で着想を得たという。国籍や戦時暴力、戦災孤児‥‥。日韓間で尾を引いてきた問題を想起させるエピソードが作品の中でストレートに出てくる。叙情よりも社会性が表に出てくるという点で、今までみてきた唐作品とは少し異なった印象を受けた。

水島カンナはてんかん持ちのヒロインあけび役をまさに迫真に迫る演技で魅せた。お色気場面も含め、コンプラのうるさい電波では流せない、舞台ならではの表現を堪能できた。小林少年の申大樹もキレのいい動きが気持ちよかった。ベテラン三浦伸子はさすがでしたね。産みと海。3幕3時間近い舞台は上と下の間を水路が仕切る仕掛けで、水しぶきが客席にかかる度に大歓声。大仕掛けのクライマックスも幽玄な境内の雰囲気が出ていて、なかなかの見ものだった。

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エリカ38 [シネマ&演劇]

昭和の時代のアイドル「美代ちゃん」、浅田美代子が初めての汚れ役に挑むというので、「エリカ38」を見に行った。タイの若い愛人との濡れ場はなかなか刺激的。女の性をある意味、あっけらかんと演じている。明るい南国の日差し、華やかな衣装を着ればまだまだ若い。しかし、収監された姿はメークのせいもあるだろうが、年相応だ。「赤い風船」を歌っていた、可憐なアイドル時代を思い浮かべて、時の流れを感じずにはいられなかった。

つなぎ融資の女王といわれ、最後は国際手配犯としてタイで捕まった女性の事件がモチーフ。男たちを手玉に取り、カネを巻き上げる悪女の側面よりも、幾つになっても「かわいい女」という側面にウエイトを置いた描き方だった。悪びれる風もない開き直り方は、浅田の天然な演技か。妙にリアルに感じた。

故樹木希林が友人である浅田にぜひ詐欺師をやらせたいと企画したという。確かに浅田のようなキャラの女優がやった方が意外性があって面白い気がする。それだけに被害者へのインタビューで女詐欺師の実像を浮き彫りにしていくという、ドキュメンタリータッチの構成というのは、作品として果たしてどうなのだろう。実際の事件をモチーフにしつつも、もう少し少女時代の出来事を絡ませながら、女の本性を掘り下げていくドラマにした方が良かったのではないか、と思ったりした。
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