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ベルリン 天使の詩 [シネマ&演劇]

新型コロナの感染拡大で、舞台や映画館に行くのもちょっと不安になってきた。仕事以外は引きこもり生活が一番安全かも。当面は、以前から見ようと思っていた映画のDVDを借りて楽しむことにした。一発目は、1987年公開の「ベルリン 天使の詩」。ヴィム・ヴェンダース監督で、カンヌ受賞作品だ。

大した予備知識なく見始めたが、モノクロで字幕も詩的でついウトウトしてしまう。永遠の命を捨て、人間になった守護天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)が地上に降り立ったところから世界はカラーになる。サーカスの舞姫マリオン(ソルヴェーグ・ドマルタン)との運命的な巡り会い、元天使のコロンボこと、ピーター・フォークが懐かしかった。

ベルリンの街には天使の意匠が多く、そこから構想が芽生えたらしい。作品のイメージを広げた、パウル・クレーの天使の絵、詩人ペーター・ハントケの作品もいつか鑑賞してみたい。西ドイツとフランス合作。ベルリンの壁があった冷戦時代に思いを馳せた。


ベルリン・天使の詩 コレクターズ・エディション(初回生産限定) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • 発売日: 2012/11/02
  • メディア: Blu-ray



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東京ノート [シネマ&演劇]

青年団第81回公演「東京ノート」を吉祥寺シアターで見た。平田オリザ作・演出。1994年の初演以来、13ヶ国語に翻訳され、世界16カ国以上で上演されてきたという。美術館のロビーに来る様々な人たち、夫婦、きょうだい、恋人、同僚などの会話が交錯する。それが芝居になっている。

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今から15年後の世界、欧州で第3次世界大戦が起き、著名な芸術家の作品が日本の美術館に疎開してきている。この美術館にはフェルメールの作品。グローバル化した世界であっても、遠い欧州の戦地。反戦パレードや現地に派遣される一部の人を除けば、プライベートな日々は変わらない。親子や夫婦の間の軋轢や、男女の行き違い。流れてゆく日常にこそ、人々は心を砕き、小さな幸せを探して彷徨う。

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平田さんによると、「見ること」も一つのテーマ。展示された絵を誰と見るか。世界最後の日、誰と一緒に見たいか、あなたにとって大事な人は誰か、そう問うている。美術館でゆっくり鑑賞できる、それは平和の証。大きな意味では、平和の大切さを訴えてもいるのだ。
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キャッツ [シネマ&演劇]

ミュージカル「キャッツ」の映画版を日比谷で見た。海外の映画評では散々でアカデミーにもノミネートされなかったが、舞台で見る機会がなかったので迷わず見に行った。かの有名な「メモリー」などのナンバーが途切れなく続く。ネコ人間がロンドンのゴミだめを舞台に歌い踊るファンタジー、感激するほどは面白くなかった。

だってストーリーがつまらない。生の舞台で見れば、歌唱とダンスの迫力が圧巻なのかもしれないが。なかなか舞台に行けない人向けに製作したのかな。白猫の子猫ヴィクトリア役のフランチェスカ・ヘイワードは英国ロイヤルバレエのプリンシパルだけあって、身のこなしが軽くて、可愛く素敵だったけど。あとテーラー・スイフトも出ていたらしい。

ジュリクルキャッツとは、人に媚びず気高く個性豊かなネコたちのこと。エリオットの造語らしい。最後の歌で出てくるけど、猫は犬とは違う。馴れ馴れしくされるのを嫌う。うちの猫もそう。やっぱり犬派かな。
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グッドバイ [シネマ&演劇]

あの太宰治の未完の小説をケラリーノ・サンドロヴィッチが脚本に仕立て、生瀬勝久が演出した。「グッドバイ」を日比谷のシアタークリエでみた。女たちの口争いが可笑しい恋愛狂騒劇。上質なコメディに大いに笑った。

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街はまだ貧しく、疎開、引き揚げの人たち、進駐軍がいた、昭和23年が舞台。そんな時代に多くの愛人を持った不埒な男と大食いの美女が出会う物語だ。セクハラ、不倫とやたらと叩かれる今どきの世間と比べると、まだ大らかであったのだなあとつい思ってしまう。でもよく考えてみると、藤木直人演じる雑誌編集長のように金持ちな人々は一握り。多くの国民は食うので精一杯の時代だった。だからこそ男たちにとっては夢物語のような金持ち階級のすったもんだのお話ができたのかも。

ヒロイン役のソニンは、キャラが立っていてキュートだった。子ども役のMIO、YAEが世の中を見透かしたような不気味な存在で面白かった。名前が変で覚えていた長井短も変な感じが印象に残った。生瀬の演出、良かったのでは。
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飛龍伝2020 [シネマ&演劇]

つかこうへいの代表作の一つ「飛龍伝2020」を新国立劇場で見た。欅坂46キャプテンの菅井友香が「8代目神林美智子」を演じる。ほぼ舞台に出ずっぱりで1幕2時間10分。一生懸命さは伝わるが、まだまだ演技が硬い。はっきり言って、ラストの歌とダンスが自然な笑顔で一番良かった。

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岡村俊一演出。1960年安保の時代、全共闘と機動隊の衝突という設定はもはや遥かな戦後。世界革命戦争に勝利する、などというセリフも空虚に響く。なまじ歴史的事実を知っているだけに、素直に物語に入り込めない。むしろ完全な作り事の設定の方が共感できたかもしれない。

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学生の熱いパワーは現代もあるだろう。ただ、作品では、仕送りで生活し学生運動に没入する学生たちと、中卒ばかりの機動隊との格差や妬みが根本にある感情的対立が描かれるのに、それが10年後に再会して、「あの頃」を懐かしがる。双方に神林というヒロインの思い出があるのかもしれないが、ヒロインの描き方自体も弱く、全体的な展開に違和感を感じてしまった。セリフをただただ熱く語るだけが、つか演劇ではないと思うのだが。
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