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JR上野駅公園口 [読書日記]

柳美里の著作、全米図書賞(翻訳文学部門)を受賞したというので読む。青春五月党という劇団を立ち上げ福島で書店を開いたりしている活動に以前から興味を持っていて、いつか尋ねてみたいと思っていた。作品は、休みの日によく歩いて美術展などに行った上野恩賜公園が舞台で土地勘があるのもあって懐かしく読んだ。

山狩りというホームレス一掃の日と皇室行幸啓。これが物語の一つのきっかけになったらしい。平成天皇と同い年で、今の天皇と同じ日に息子に恵まれた、福島の出稼ぎ男性の人生を、家族に先立たれていく「運が悪い」人生を描く。人々に向き合う、国民に寄り添う天皇と言いながら、ホームレスは視界に入らないように排除される、この国の現実。東日本大震災、福島原発事故が炙り出した、東北への仕打ちを静かに告発している。

相馬の真宗の住職の話、人が亡くなるのは忌むことではなく、仏になり我々を守ってくださる菩薩となるのですというくだり。南無阿弥陀仏、真宗の教えらしいが、このスピリチュアルな世界が地域で受け継がれていることが一番印象に残った。


JR上野駅公園口 (河出文庫)

JR上野駅公園口 (河出文庫)

  • 作者: 柳美里
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/03/03
  • メディア: Kindle版



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Kindleを買った [読書日記]

アマゾンのKindleを買った。電子書籍なんてと思っていたが、使ってみると結構快適だ。品揃えの問題はありそうだが、今すぐ読んでみたい雑誌や、読んで仕舞えばとっておかなくてもいい書籍は電子書籍で済ますというのはありかも。コロナ時代ゆえの暮らし方の一つとして新しい読書スタイルに挑んでみるのも一興かなと思う。

一番安いのは8千円ほどであったが、ペーパーホワイトという1万円代の端末にした。マンガを読むのなら一番安いのはダメだったのでこういう選択になった。電子ペーパーはバックライトが付いているのだが、眩しくなくて、パソコンより目に優しそう。Wi-Fiに繋げば簡単に書籍をダウンロードできる。しかも紙の本より値段が安い。

で、最初に買ったのがコミック「鬼滅の刃」。全23巻は嵩張るし、ブームの折全巻揃いはメルカリでも値段高騰中だ。これだけ社会現象になっているのだから、読まないわけにはいかないかなあと。感想は後日書こうと思うが、少年ジャンプを読んでいた大学生の頃を思い出しながらページを進めている。




Kindle Paperwhite 防水機能搭載 wifi 8GB ブラック 広告つき 電子書籍リーダー

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  • 出版社/メーカー: Amazon
  • 発売日: 2018/11/07
  • メディア: エレクトロニクス



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三島由紀夫 悲劇への欲動 [読書日記]

文芸評論家の佐藤秀明さんの岩波新書を読む。あの割腹自殺から50年、三島文学はあの事件のイメージが強く、特にファンでもないこともあり避けてきた。しかし、昨年映画になった「美しい星」いらい興味を覚え少しずつ読むようになった。今回作品とともに生涯を振り返った一冊を読み、小説だけでなく演劇・歌舞伎、映画と幅広く創作活動をしていたことを知った。

三島がトスカを下敷きに書いた「鹿鳴館」。シアトリカルな演劇、芝居らしい芝居を役者にも求めた。スタニスラフスキー・システムの「俳優は役を生きる」とは異なる「俳優と役は別物」という考え方。歌舞伎の手法を持ち込んだという。

本棚にあった「近代能楽集」に手を伸ばし、早速「弱法師(よろぼうし)」という戯曲を読んだ。いずれは三島作品を舞台で見たいと思う。


三島由紀夫 悲劇への欲動 (岩波新書)

三島由紀夫 悲劇への欲動 (岩波新書)

  • 作者: 佐藤 秀明
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/10/21
  • メディア: 新書



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