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シン・ウルトラマン [シネマ&演劇]

庵野秀明が総監修の「シン・ウルトラマン」を見てきた。シン・ゴジラに続く「シン」シリーズ。新だけではなく、真であり、深であり、神でもある「シン」なのか。昭和のウルトラマンとは一味違うオトナの味付けをしたウルトラマンだった。

怪獣は「禍威獣」とされ外星人が持ち込んだ生物兵器とされる。ウルトラマンの故郷、光の星もい含め地球外の進化した生命体が地球=人類を我がものにしようと企んでいる中で、掟を破り人類と融合したウルトラマンが人類を守るため奮闘する。

デジタル技術の進歩で特撮映画と思えぬリアルな映像。巨大化した長澤まさみにはびっくりしたけれど(映画を見た、ららポート福岡のガンダム像を見た後だったので)。結局、人類そのものが究極の生物兵器であり、地球の脅威であるというオチがついている。自らの都合で環境を破壊し続ける地球人への痛烈なメッセージであるのは言うまでもないだろう。

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エロ事師たち [読書日記]

野坂昭如の「エロ事師たち」を読了した。AVもネットもなかった昭和時代の「エロ稼業」に精を出した男たちの話。エロ写真、ブルーフィルムにトルコ風呂。懐かしい用語に昔を思い出す。

関西が舞台で主人公のすぶやんが全編大阪弁で語る。企業が営業の一環で顧客をもてなすためエロ映画の映写会をしたり、売春の斡旋をしたり。もちろん当時でも違法だが、裏稼業のエロ事師たちが危ない橋を渡りながら顧客の欲望を満たす。客から感謝されることにプロとしての誇りを持って、次第に内容もエスカレートしていく。

戦後の復興から高度成長へと向かおうとする頃。警察に捕まるようなことをしながらも、まだのんびりというか、おおらかというか。今の尺度で言えば、性差別だ、人権侵害だという話にもなるだろう。発表当時としても過激な内容を、お伽噺のような感じで読み終えた。


エロ事師たち (新潮文庫)

エロ事師たち (新潮文庫)

  • 作者: 昭如, 野坂
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1970/04/17
  • メディア: 文庫



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杉浦非水展 [アート]

日本のモダンデザインのパイオニア杉浦非水の展覧会を福岡県立美術館で見た。三越やカルピスのポスター、商品パンフレット、さまざまな本の装丁など、いわゆるレトロモダンな図案を面白く眺めた。

戦争の時代にも重なり京城に日本の百貨店が進出したり、南満州鉄道の開通の際のポスターに関わったりしている。浅草から銀座に地下鉄が開通した時の惹句は「東洋で初めての地下鉄開通」。誇らしげな時代の空気を感じる。

デザイン界の巨匠になってからは図案集を出したり、多摩美大の設立などに関わったり、後進の教育に力を注いだようだ。会場の県美は随分久しぶり。周辺の公園はリニューアル工事中だが、確か県美は福岡市美のある大濠に移転する構想があったっけ。天神の繁華街から歩いて行ける美術館は気に入っていたのだが。

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なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか [読書日記]

宗教学者・島田裕巳さんの新書。宗教の歴史や聖地巡礼の話に興味があり、これまでも島田さんの本を手に取ってきたが、神社をめぐるこの本も面白かった。八幡、天神、稲荷、伊勢、出雲、春日、熊野、祇園、諏訪、白山、住吉。全国の至る所に同じ名前の神社が点在している不思議の謎が解けた。

それにしても日本は本当に八百万の神の国なのだと思った。神社ごとに違う神を祀っていて、しかも1社に1柱というわけではない。神社の境内に別の系統の神社を勧請して、摂社や末社として小祠がある。古事記、日本書紀に出てくる327柱の神々はほんの一部で、外国から渡来してきたり後世の人が祀られたり、自然神が元だったりする神も多い。もともとは仏教と一体だった時代の方が長く、仏が神と習合して新たな信仰の対象となったケースも多いと知った。

明治以降の廃仏毀釈、国家神道で随分と神社のかたちも変わったらしい。天神さま、菅原道真は祟り神から善なる神へ変貌し寺子屋に額が飾られたことから別に達筆ではないのに書道の神に祭り上げられた。歌舞伎の「菅原伝授手習鑑」が信仰拡大にもたらした影響も大きかった。熊野の話では、補陀落渡海(ほだらくとかい)という衝撃的な習俗を知る。海の向こうの浄土を目指して船出する自殺行為は、井上靖が小説にしているという。久留米の水天宮は、壇ノ浦で滅びた平家の人々を祭神としていることも知った。祠があれば拝んでしまう、これはもう日本人の習性なんだろう。






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会社卒業 [雑感]

同期がまた一人、会社を去った。定年後再雇用で65歳。大学浪人なので自分より1年度早く、生まれ月の4月30日をもって会社を卒業した。先月には同期の一人が突然逝った。気持ちは若いのだが、こういう年頃なのかなあと、少し切ない気分になる。

大学のサークルの同期はまだ現役だが、来年には皆65歳を迎え多くはリタイアするようだ。自分はとりあえず年金がフルにもらえる年齢までと思う。会社を辞めた後は「お金に働いてもらう」と言う奴もいる。急に通勤がなくなる、外に行くことがなくなる生活はやはり手持ち無沙汰だろうなあ。バイトなのか、ボランティアなのか、自治会活動なのか、最近たまに卒業後の生活を考える。

家のことももちろんやらねば(やってくださいねと妻から言われている)と決意している。生活のリズムを作ることが大事だと思ったりする。パラサイトシングルを抱え、わずかな蓄えを削りながら暮らしていくのかな、なんて考えると何か下を向きたくなる。やはり目標を持たないとね、そう自分に言い聞かせながら酒を飲む連休の一日。
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