駒場の日本民藝館を訪ねた。日本近代文学館に行ったのをSNSにあげたら、近くにある日本民藝館もいいよ、と友人が教えてくれた。


パンフレットによると、「民藝」という新しい美の概念の普及と「美の生活化」を目指す「民藝運動」の拠点として、思想家の柳宗悦(やなぎ・むねよし)が企画。建物も柳が設計したという。


日本人が愛した英国の椅子、ウィンザーチェアの展覧会をやっていたが、ゴッホが使った椅子がしれっと展示されていたりした。館の方針で、説明書きは極力少なくしているそうで、それは「知識で物を見るのではなく、直感の力で見ることが何より肝要である」という柳の見識によるという。確かにその通りだと思う。


館内には生活の臭いともいうべきものが感じられた。どちらかというと無機質なビル街の美術館とは違い、日用品にしみついた手垢やカビの臭いかもしれない。それが芸術品とは異なる、日用の美なのだろう。