試写会で鑑賞したドキュメンタリー。日本初の女性写真家と伝説のジャーナリストの生き方を元NHKの河邑厚徳監督が撮った。


昨夏亡くなった、むのたけじさんは、元朝日の記者。敗戦で社をやめて故郷・秋田県横手に帰り、週刊新聞「たいまつ」を発行した。二度と戦争を繰り返してはいけない。そのメッセージを伝えることを自らの使命として、書き、話し続けた。2015年、集団的自衛権を認める安保関連法案の国会審議のとき、若い人たちがデモなどで反対を叫んで立ち上がった。「この70年間戦争をしなかった日本だから、こうした若者が育ったのだ」と話した。


笹本恒子さんは、徳富蘇峰や加藤シヅエ、浅沼稲次郎、力道山ら昭和の有名人にカメラに納め続け、なお現役。代表作「明治生まれの女性たち」シリーズは、女性の地位向上に大いに貢献したという。


しかし101歳になっても、実に覇気があるし、笑顔なのがいい。人生はもちろん山あり谷ありで、二人とも家庭的、健康的に辛い思いをしたことも数知れなくあったらしい。それでも自分のやりたいことを死ぬまでやり続けるという決意が二人にはあった。むのさんは入院中でも「微笑みながら死にたい」と言い、死ぬときの練習をしていたというエピソードもある。それはきっと残された人への心遣いでもあったのだろう。