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逃げ切れた夢 [シネマ&演劇]

光石研主演の「逃げ切れた夢」をアマゾンプライムで見る。北九州出身ということで兼ねてから親近感があったが、主演映画を見るのは初めて(それまでに主演があったかどうか知らないが)。中高年の侘しさ、寂しさが出ていて、切ない気持ちになる映画だった。


定年間際の定時制高校の教頭先生という役柄。悪い人ではないんだろうが、どこか小心で不安気な表情は実に光石らしい。冷え切った家庭(妻役の坂井真紀がとても冷たくて怖かった!)、しらけた学校、旧友との仲も随分と疎遠な様子。自身が記憶を失くす病気と分かり、急に周囲とコミュニケーションを取ろうとするが、気持ち悪がられて却って浮いた存在になってしまう。


全編を通して会話場面での沈黙の長いこと。喋っている部分より会話がない時間の方が長かったような気がする。これも、一生懸命に言葉を探す主人公を際立たせる、二ノ宮隆太郎監督の狙いなのか。教育現場の大変さがよく出ていたし、妻と夫の関係についても、身の置き所がない嫌な雰囲気がよく出ていたが、一番耳に残ったのは北九州弁「しゃあしいちゃ」(友人役の松重豊)かな。


逃げきれた夢 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2023/12/06
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泥人魚 [シネマ&演劇]

劇団唐組「泥人魚」の岡山公演を岡山市旭川京橋河川敷で見た。2003年度の紀伊國屋演劇賞、鶴屋南北戯曲賞などを受賞した唐十郎の作品。21年ぶりの再演ということで岡山まで足を伸ばした。


長崎の諫早湾干拓事業から想を得た。鉄板がギロチンのように海を仕切る情景、泥の干潟が舞台に再現される。諫早出身の浪漫派詩人・伊東静雄をもじった伊藤が営むブリキ屋を舞台に騒々しく時にユーモラスで、時にロマンチックな掛け合いが展開する。


義眼や人魚の鱗、柱時計など、唐の好むモチーフが次々と出てきて、物語は迷路に迷い込んでいく。紅テントの中で200人近い観客は足腰の辛さに耐えながら、必死に2時間余りの舞台に集中する。福本雄樹、大鶴美仁音、稲荷卓央、藤井由紀、久保井研らが対峙し、一気にクライマックスに傾れ込んでいく。俳優と観客の熱量が一体となって盛り上がる、ここにテント芝居の妙味があると改めて思った。


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河畔にある世界で初めて空を飛んだ表具師の碑!


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君たちはどう生きるか [シネマ&演劇]

アカデミー賞長編アニメ部門でオスカーを獲得した宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を遅ればせながら見に行く。ロングラン上映していたものの、上映時間が夜遅くなど日程が合わなかったが、アカデミー受賞で上映枠が拡大し、めでたく鑑賞の運びとなった。


戦争で疎開した少年・真人(まひと)の夏が描かれている。母親を空襲で亡くし父親は再婚、少年の複雑な思いが静かに語られる。テーマは大きくて生命の尊さとか、子孫とか、輪廻とかいう言葉が脳裏に浮かんだ。原作同名の岩波文庫の原作は読んでいないが、映画の原作・脚本も手がけた宮崎監督の哲学・思想がそのまま反映されているのだろうか。


地獄・天国に出てくるキャラは鳥がメーン。ルーツは恐竜と言われる鳥類はつぶさによく見ると結構グロテスクな部分もあったりする。そこをデフォルメして恐ろしかったり滑稽だったりするキャラを設定したのだろう。人気・実力俳優が声優として多く出演していて、エンディングロールを見ながらへえと思ったりした。


君たちはどう生きるか (岩波文庫 青 158-1)

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  • 作者: 吉野 源三郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1982/11/16
  • メディア: 文庫
漫画 君たちはどう生きるか

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  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2017/09/19
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君たちはどう生きるか (ポプラポケット文庫)

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  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2023/09/29
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スタジオジブリ絵コンテ全集23 君たちはどう生きるか (スタジオジブリ絵コンテ全集 23)

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  • 作者: 宮﨑駿
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2023/11/01
  • メディア: 単行本



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中村仲蔵〜歌舞伎王国 下剋上異聞 [シネマ&演劇]

藤原竜也主演の舞台「中村仲蔵〜歌舞伎王国 下剋上異聞」を池袋のブリリアホール(豊島区立芸術文化劇場)で見た。血筋がモノをいう歌舞伎の世界で実力でスターの地位をつかんだ男の物語。今も引き継がれる團十郎や勘三郎といった大看板の役者たちが登場人物として出てきて、伝統芸能の歴史つなぐ厳しさを考えたりした。


相変わらずの藤原の熱演。市原隼人、高嶋政宏らが脇を固めた。「好きな芝居が出来ないなら、生きる意味がない」といったセリフは藤原自身の役者魂と被って見えた。舞踊もしっかり練習したのだろう。堂にいった出来栄えだった。


源孝志脚本、蓬莱竜太演出。講談やドラマにもなった話らしいが、迂闊にも知らなかった。歌舞伎の演目や役者に詳しければ、2倍楽しめる舞台だと思った。


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天才バカボンのパパなのだ [シネマ&演劇]

下北沢演劇祭で「天才バカボンのパパなのだ」(本多劇場)をみた。バカボンは、いわずと知れた赤塚不二夫のギャグ漫画の傑作だが、芝居の脚本は別役実。不条理劇の大家がどんな本を書いたのか。構えて見たが、抱腹絶倒の舞台だった。


簡単に言えば、国の治安を守り国民に対しても親切な(でも実は偉そうな)警察官をバカボン一家がおちょくる話。権力を相手に回した庶民の抵抗と位置付けられないことはないが。ただ、バカボンのパパもママもバカボンも皆マジメ。マジメにふざける、メチャクチャなことをするのだ。堪忍袋の緒が切れた署長はついに銃を抜き・・・


以前、別役の不条理劇に出演していた俳優の高田聖子さんがすぐ近くの席で観劇していて、びっくり。でも最近は舞台でバカなことを描いても、現実が結構バカなことが多いので舞台の人も大変なのではないか。でも、昭和のギャグ漫画をタイトルにした舞台はちっとも昭和くさくなくパワー全開で楽しかった。


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オデッサ [シネマ&演劇]

三谷幸喜作・演出の「オデッサ」を福岡・キャナルシティ劇場でみた。推しの宮澤エマが警部役で通訳に柿澤勇人、犯人役に迫田孝也という配役。3人の登場人物が2つの言語を話し、一つの真実に迫る。英語と日本語(薩摩弁)の掛け合いの面白さ。上質のコメディだった。


テキサスのオデッサという田舎町が舞台。ウクライナのあのオデッサに居たロシア人が米国に渡り、開拓した村という。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、深読みすれば、言語の違いによる意思疎通の難しさや、文化・考え方の違いをコメディ仕立てで表現したとも言えるが、「まあ硬いこと言わずに笑えればいいじゃん」という感じで1時間45分を楽しんだ。


大河ドラマでの宮澤とは打って変わって、ネイティブ英語ペラペラの舞台(英語セリフ監修も務める)。逐一、舞台のバックに日本語訳が出て、なんとか事態を切り抜けよう、誤魔化そうとする「にわか通訳」とのやりとりがテンポがいい。鹿児島出身という想定の犯人役・迫田は実際に鹿児島生まれで、ネイティブの薩摩弁(特に独特のアクセント)が効果的だった。三谷のオープニング挨拶も調子に乗って鹿児島弁でねっとりとスピーチ。何もかも計算されたセリフ回しが素晴らしかった。


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探偵マリコの生涯で一番悲惨な日 [シネマ&演劇]

Amazonプライムで久しぶりにシネマ鑑賞する。伊藤沙莉主演の「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」(内田真治、片山慎三監督)。ハードボイルドな新宿、ゴールデン街を舞台に訳ありな過去を持つ連中がマリコのバー(兼探偵事務所)に集う。

それぞれの登場人物ごとにストーリーが語られる展開。ヤクザはともかく、忍者の子孫がいたり、宇宙人が出てきたり、FBIが登場したり、殺し屋姉妹がいたり、結構はちゃめちゃなストーリー。でも何でもありの新宿らしさは出ていたかな。伊藤沙莉の探偵。竹野内豊の忍者役も面白かった。

ゴールデン街のそばの花園神社はテント芝居のメッカ。状況劇場にいた六平直政がテント芝居の役者役で出てきて、唐十郎の話をするご愛嬌があって思わず「いいね」と叫んだ。猥雑なあの街の空気、久々に新宿に行ってみたくなった。


唐十郎の劇世界

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  • 作者: 扇田 昭彦
  • 出版社/メーカー: 右文書院
  • 発売日: 2007/01/01
  • メディア: 単行本



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  • 出版社/メーカー: 青弓社
  • 発売日: 2021/06/18
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唐十郎のせりふ: 二〇〇〇年代戯曲をひらく

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  • 作者: 新井高子
  • 出版社/メーカー: 幻戯書房
  • 発売日: 2021/12/02
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ゴジラ−1.0 [シネマ&演劇]

ゴジラ生誕70周年記念作の「ゴジラ−1.0」(山﨑貴監督)を見た。舞台は敗戦直後の日本。焼け野原の東京、特攻隊の生き残り、戦災孤児‥‥復興に立ち上がる人たちの前にゴジラが現れ、ようやく賑わいを取り戻した銀座界隈を蹂躙する。

神木隆之介と浜辺美波の朝ドラ「らんまん」コンビ。特攻で死ねなかった負い目、亡くなった仲間たちへの申し訳なさは多くのドラマで描かれてきたが、今作もそのわだかまりがゴジラ退治への英雄的な行動に駆り立てるストーリーになっている。

相模湾の深海に沈んでいくゴジラ。軍国主義、国家主義を怪物に見立てたのは明らかだろう。戦後78年、今またきな臭い動きがある世の中に警鐘を鳴らすゴジラ映画。民主主義を担う我々がヒーローにならなければならない。


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パーフェクトデイズ [シネマ&演劇]

カンヌ映画祭で主演の役所広司が最優秀男優賞を受賞した「パーフェクトデイズ」を見た。小津安二郎を敬愛するヴィム・ベンダーズ監督の作品。東京の公共トイレの清掃人・平山の日常を淡々と描く。静かで穏やかな主人公の日々が繰り返し映し出される。人と社会を映し出す鏡「街角のトイレ」の清掃を完璧にこなしながら、日々のルーチンを繰り返す孤高の男。言葉少ない画面から何を感じとるか。見る人の人生に問いかける、大人の映画だと思った。

文庫本(誰の本か気になる)を読み、フィルムカメラ(オリンパスらしい)で木漏れ日を写し、紅葉の苗を盆栽として育てる。趣味がその人の教養の一端を物語る。過去に何があり、清掃の仕事に就いたのかは想像するしかないが、かつては社会的地位のある人だったのだろう。スカイツリーを仰ぎ見る押上、亀戸(亀戸天神の近くか)あたりが主人公の住まい。渋谷の公園などの公共トイレ(どれも一流の建築家のデザイン)で仕事をし、夜は隅田川を越えて浅草あたりの居酒屋で一杯やる。かつて住んだ東京を思い出しながら懐かしい思いに浸る。

無口な眼差し、光と影、そして車の中で聴くカセットから流れる音楽。70年代のポピュラーが画面に広がる。「朝日のあたる家」はわかったが、あとはあまり知らない曲。きっと主人公の心情を表しているのかな。ラスト大写しになる主人公の顔。特に大事件が起きるわけでもない。ただ気持ちのいい映画だった。

作品で流れる楽曲は以下の通り。

The Animals “House of the Rising Sun”
The Velvet Underground “Pale Blue Eyes”
オーティス・レディング “(Sittin’ On) The Dock Of The Bay”
パティ・スミス “Redondo Beach”
ルー・リード “Perfect Day”
The Rolling Stones “(Walkin’ Thru The) Sleepy City”
金延幸子“青い魚”
The Kinks “Sunny Afternoon”
ヴァン・モリソン “Brown Eyed Girl”
ニーナ・シモン “Feeling Good”

居酒屋の女将、石川さゆりの「朝日があたる家」(浅川マキが歌った日本語バージョン)はさすが。ギターはあがた森魚。


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カラオケマン 最後のロマンス [シネマ&演劇]

風間杜夫のひとり芝居「カラオケマン 最後のロマンス」を福岡・天神の西鉄ホールで見た。牛山明のカラオケマンシリーズは第7弾、26年目の新作として74歳の恋を軽やかに描いてみせた。

初めてのひとり芝居だったが、小道具やセットを変えながら共演者がいる如く演じる。音や光、目線でそこに役者がもう一人いるような錯覚を覚える。タイトル通り、昭和歌謡のオンパレードで、「釜山港に帰れ」に始まり、裕次郎、「遠い世界に」は観客も交えて大合唱。知らない曲(サザン?加藤登紀子?)もあり、できればセットリストが欲しかった。

元妻の3回忌、娘の離婚騒動、儚いロマンスの結末とドラマが展開する。かつて、つかこうへいに見出された才能。つか芝居の風間を生で見たことはないが、「口立て」でマシンガンのようにセリフが放たれる舞台はきっと、ひとり芝居のような緊張感の中で行われたのではないか。後期高齢者目前と思わせない歌声と熱演の1時間半。蒲田行進曲のスター銀ちゃんは歳を重ねても、やはり輝いていた。

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