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君たちはどう生きるか [シネマ&演劇]

アカデミー賞長編アニメ部門でオスカーを獲得した宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を遅ればせながら見に行く。ロングラン上映していたものの、上映時間が夜遅くなど日程が合わなかったが、アカデミー受賞で上映枠が拡大し、めでたく鑑賞の運びとなった。


戦争で疎開した少年・真人(まひと)の夏が描かれている。母親を空襲で亡くし父親は再婚、少年の複雑な思いが静かに語られる。テーマは大きくて生命の尊さとか、子孫とか、輪廻とかいう言葉が脳裏に浮かんだ。原作同名の岩波文庫の原作は読んでいないが、映画の原作・脚本も手がけた宮崎監督の哲学・思想がそのまま反映されているのだろうか。


地獄・天国に出てくるキャラは鳥がメーン。ルーツは恐竜と言われる鳥類はつぶさによく見ると結構グロテスクな部分もあったりする。そこをデフォルメして恐ろしかったり滑稽だったりするキャラを設定したのだろう。人気・実力俳優が声優として多く出演していて、エンディングロールを見ながらへえと思ったりした。


君たちはどう生きるか (岩波文庫 青 158-1)

君たちはどう生きるか (岩波文庫 青 158-1)

  • 作者: 吉野 源三郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1982/11/16
  • メディア: 文庫
漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2017/09/19
  • メディア: Kindle版
君たちはどう生きるか (ポプラポケット文庫)

君たちはどう生きるか (ポプラポケット文庫)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2023/09/29
  • メディア: Kindle版
スタジオジブリ絵コンテ全集23 君たちはどう生きるか (スタジオジブリ絵コンテ全集 23)

スタジオジブリ絵コンテ全集23 君たちはどう生きるか (スタジオジブリ絵コンテ全集 23)

  • 作者: 宮﨑駿
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2023/11/01
  • メディア: 単行本



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中村仲蔵〜歌舞伎王国 下剋上異聞 [シネマ&演劇]

藤原竜也主演の舞台「中村仲蔵〜歌舞伎王国 下剋上異聞」を池袋のブリリアホール(豊島区立芸術文化劇場)で見た。血筋がモノをいう歌舞伎の世界で実力でスターの地位をつかんだ男の物語。今も引き継がれる團十郎や勘三郎といった大看板の役者たちが登場人物として出てきて、伝統芸能の歴史つなぐ厳しさを考えたりした。


相変わらずの藤原の熱演。市原隼人、高嶋政宏らが脇を固めた。「好きな芝居が出来ないなら、生きる意味がない」といったセリフは藤原自身の役者魂と被って見えた。舞踊もしっかり練習したのだろう。堂にいった出来栄えだった。


源孝志脚本、蓬莱竜太演出。講談やドラマにもなった話らしいが、迂闊にも知らなかった。歌舞伎の演目や役者に詳しければ、2倍楽しめる舞台だと思った。


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天才バカボンのパパなのだ [シネマ&演劇]

下北沢演劇祭で「天才バカボンのパパなのだ」(本多劇場)をみた。バカボンは、いわずと知れた赤塚不二夫のギャグ漫画の傑作だが、芝居の脚本は別役実。不条理劇の大家がどんな本を書いたのか。構えて見たが、抱腹絶倒の舞台だった。


簡単に言えば、国の治安を守り国民に対しても親切な(でも実は偉そうな)警察官をバカボン一家がおちょくる話。権力を相手に回した庶民の抵抗と位置付けられないことはないが。ただ、バカボンのパパもママもバカボンも皆マジメ。マジメにふざける、メチャクチャなことをするのだ。堪忍袋の緒が切れた署長はついに銃を抜き・・・


以前、別役の不条理劇に出演していた俳優の高田聖子さんがすぐ近くの席で観劇していて、びっくり。でも最近は舞台でバカなことを描いても、現実が結構バカなことが多いので舞台の人も大変なのではないか。でも、昭和のギャグ漫画をタイトルにした舞台はちっとも昭和くさくなくパワー全開で楽しかった。


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オデッサ [シネマ&演劇]

三谷幸喜作・演出の「オデッサ」を福岡・キャナルシティ劇場でみた。推しの宮澤エマが警部役で通訳に柿澤勇人、犯人役に迫田孝也という配役。3人の登場人物が2つの言語を話し、一つの真実に迫る。英語と日本語(薩摩弁)の掛け合いの面白さ。上質のコメディだった。


テキサスのオデッサという田舎町が舞台。ウクライナのあのオデッサに居たロシア人が米国に渡り、開拓した村という。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、深読みすれば、言語の違いによる意思疎通の難しさや、文化・考え方の違いをコメディ仕立てで表現したとも言えるが、「まあ硬いこと言わずに笑えればいいじゃん」という感じで1時間45分を楽しんだ。


大河ドラマでの宮澤とは打って変わって、ネイティブ英語ペラペラの舞台(英語セリフ監修も務める)。逐一、舞台のバックに日本語訳が出て、なんとか事態を切り抜けよう、誤魔化そうとする「にわか通訳」とのやりとりがテンポがいい。鹿児島出身という想定の犯人役・迫田は実際に鹿児島生まれで、ネイティブの薩摩弁(特に独特のアクセント)が効果的だった。三谷のオープニング挨拶も調子に乗って鹿児島弁でねっとりとスピーチ。何もかも計算されたセリフ回しが素晴らしかった。


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探偵マリコの生涯で一番悲惨な日 [シネマ&演劇]

Amazonプライムで久しぶりにシネマ鑑賞する。伊藤沙莉主演の「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」(内田真治、片山慎三監督)。ハードボイルドな新宿、ゴールデン街を舞台に訳ありな過去を持つ連中がマリコのバー(兼探偵事務所)に集う。

それぞれの登場人物ごとにストーリーが語られる展開。ヤクザはともかく、忍者の子孫がいたり、宇宙人が出てきたり、FBIが登場したり、殺し屋姉妹がいたり、結構はちゃめちゃなストーリー。でも何でもありの新宿らしさは出ていたかな。伊藤沙莉の探偵。竹野内豊の忍者役も面白かった。

ゴールデン街のそばの花園神社はテント芝居のメッカ。状況劇場にいた六平直政がテント芝居の役者役で出てきて、唐十郎の話をするご愛嬌があって思わず「いいね」と叫んだ。猥雑なあの街の空気、久々に新宿に行ってみたくなった。


唐十郎の劇世界

唐十郎の劇世界

  • 作者: 扇田 昭彦
  • 出版社/メーカー: 右文書院
  • 発売日: 2007/01/01
  • メディア: 単行本



唐十郎ギャラクシー

唐十郎ギャラクシー

  • 作者: 堀切直人
  • 出版社/メーカー: 青弓社
  • 発売日: 2021/06/18
  • メディア: Kindle版



唐十郎のせりふ: 二〇〇〇年代戯曲をひらく

唐十郎のせりふ: 二〇〇〇年代戯曲をひらく

  • 作者: 新井高子
  • 出版社/メーカー: 幻戯書房
  • 発売日: 2021/12/02
  • メディア: 単行本



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ゴジラ−1.0 [シネマ&演劇]

ゴジラ生誕70周年記念作の「ゴジラ−1.0」(山﨑貴監督)を見た。舞台は敗戦直後の日本。焼け野原の東京、特攻隊の生き残り、戦災孤児‥‥復興に立ち上がる人たちの前にゴジラが現れ、ようやく賑わいを取り戻した銀座界隈を蹂躙する。

神木隆之介と浜辺美波の朝ドラ「らんまん」コンビ。特攻で死ねなかった負い目、亡くなった仲間たちへの申し訳なさは多くのドラマで描かれてきたが、今作もそのわだかまりがゴジラ退治への英雄的な行動に駆り立てるストーリーになっている。

相模湾の深海に沈んでいくゴジラ。軍国主義、国家主義を怪物に見立てたのは明らかだろう。戦後78年、今またきな臭い動きがある世の中に警鐘を鳴らすゴジラ映画。民主主義を担う我々がヒーローにならなければならない。


小説版 ゴジラ-1.0 (ジャンプジェイブックスDIGITAL)

小説版 ゴジラ-1.0 (ジャンプジェイブックスDIGITAL)

  • 作者: 山崎貴
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2023/11/08
  • メディア: Kindle版



フィギュア王 (309) (ワールド・ムック 1307)

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  • 出版社/メーカー: ワールドフォトプレス
  • 発売日: 2023/10/26
  • メディア: ムック



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パーフェクトデイズ [シネマ&演劇]

カンヌ映画祭で主演の役所広司が最優秀男優賞を受賞した「パーフェクトデイズ」を見た。小津安二郎を敬愛するヴィム・ベンダーズ監督の作品。東京の公共トイレの清掃人・平山の日常を淡々と描く。静かで穏やかな主人公の日々が繰り返し映し出される。人と社会を映し出す鏡「街角のトイレ」の清掃を完璧にこなしながら、日々のルーチンを繰り返す孤高の男。言葉少ない画面から何を感じとるか。見る人の人生に問いかける、大人の映画だと思った。

文庫本(誰の本か気になる)を読み、フィルムカメラ(オリンパスらしい)で木漏れ日を写し、紅葉の苗を盆栽として育てる。趣味がその人の教養の一端を物語る。過去に何があり、清掃の仕事に就いたのかは想像するしかないが、かつては社会的地位のある人だったのだろう。スカイツリーを仰ぎ見る押上、亀戸(亀戸天神の近くか)あたりが主人公の住まい。渋谷の公園などの公共トイレ(どれも一流の建築家のデザイン)で仕事をし、夜は隅田川を越えて浅草あたりの居酒屋で一杯やる。かつて住んだ東京を思い出しながら懐かしい思いに浸る。

無口な眼差し、光と影、そして車の中で聴くカセットから流れる音楽。70年代のポピュラーが画面に広がる。「朝日のあたる家」はわかったが、あとはあまり知らない曲。きっと主人公の心情を表しているのかな。ラスト大写しになる主人公の顔。特に大事件が起きるわけでもない。ただ気持ちのいい映画だった。

作品で流れる楽曲は以下の通り。

The Animals “House of the Rising Sun”
The Velvet Underground “Pale Blue Eyes”
オーティス・レディング “(Sittin’ On) The Dock Of The Bay”
パティ・スミス “Redondo Beach”
ルー・リード “Perfect Day”
The Rolling Stones “(Walkin’ Thru The) Sleepy City”
金延幸子“青い魚”
The Kinks “Sunny Afternoon”
ヴァン・モリソン “Brown Eyed Girl”
ニーナ・シモン “Feeling Good”

居酒屋の女将、石川さゆりの「朝日があたる家」(浅川マキが歌った日本語バージョン)はさすが。ギターはあがた森魚。


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カラオケマン 最後のロマンス [シネマ&演劇]

風間杜夫のひとり芝居「カラオケマン 最後のロマンス」を福岡・天神の西鉄ホールで見た。牛山明のカラオケマンシリーズは第7弾、26年目の新作として74歳の恋を軽やかに描いてみせた。

初めてのひとり芝居だったが、小道具やセットを変えながら共演者がいる如く演じる。音や光、目線でそこに役者がもう一人いるような錯覚を覚える。タイトル通り、昭和歌謡のオンパレードで、「釜山港に帰れ」に始まり、裕次郎、「遠い世界に」は観客も交えて大合唱。知らない曲(サザン?加藤登紀子?)もあり、できればセットリストが欲しかった。

元妻の3回忌、娘の離婚騒動、儚いロマンスの結末とドラマが展開する。かつて、つかこうへいに見出された才能。つか芝居の風間を生で見たことはないが、「口立て」でマシンガンのようにセリフが放たれる舞台はきっと、ひとり芝居のような緊張感の中で行われたのではないか。後期高齢者目前と思わせない歌声と熱演の1時間半。蒲田行進曲のスター銀ちゃんは歳を重ねても、やはり輝いていた。

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超時空地下街テンチカ 七隈線で別世界へGO! [シネマ&演劇]

ギンギラ太陽sの公演「超時空地下街テンチカ 七隈線で別世界へGO!」を福岡市天神の西鉄ホールで見た。独特の被り物で地域ネタをやる劇団。一度は見ておかないと思っていたが、本社勤務となりようやく仕事終わりに観劇という理想のスタイルで舞台を訪れることができた。

劇団を率いる大塚ムネトは、福岡の人にしかわからない地域限定の物語をひたすら追求する。今回も天神ビッグバン、かつての流通戦争を知っている人のノスタルジーをくすぐるネタが満載。ミセス大丸、娘のエルガーラ姫、ソラリアデビル、パルコ嬢、老舗岩田屋さんなど、天神を形作るお馴染みのビルが登場し地域ネタを掘り下げていく。天神地下街が大きな方舟のような構造でできていること、御影石を模したピンコロ石で石畳ができていることを初めて知った。朝の開店時に流れるライフクオリティーの音楽(毎朝癒されている)も聞けた。

伝説のプランナー田中諭吉の業績を紹介しながら、街づくりの未来を展望する。地下街が主要ビルを支える天神の人流構造、山笠の集団山見せ、櫛田神社の山笠展示など、街の賑わいを作り出してきた田中の構想力・アイデア・実行力に感心する。舞台の大団円の後は撮影タイムがあり、建築家松岡恭子さんと大塚の対談もあった。コロナが下火になりようやく戻りつつある、かつての日常を象徴するような舞台。街は仕事にショッピングにWEB・オンラインを活用しながら新たな賑わいを生み出していくのだろう。元気な舞台に少し力をもらった。

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兎、波を走る [シネマ&演劇]

NODA・MAP第26回公演「兎、波を走る」を博多座で見た。高橋一生、松たか子、多部未華子ら人気俳優が出るとあって大入り。2度目の野田秀樹作・演出作品だったが、一言で言えば野田秀樹のアタマの中を見せられた、ぶちまけられたという感じ。言葉遊びと記憶と記録が混然となった「野田ワールド」が展開した。

不思議の国のアリスが下敷き。兎を追ってどこかへ行ったアリスを連れ戻そうとする母親が、「妄想するしかない世界」に迷い込む。「もう、そうするしかない現実」と行ったり来たりしながら、不条理な話が進む。

たぶん野田が敬愛する?ブレヒト、チェーホフをもじった劇作家が登場し、劇中劇のような世界を作り出す。成田闘争、過激派のよど号ハイジャック、北朝鮮による拉致事件、AIとVRの世界が舞台に映し出され、時空は螺旋階段のように捩れていく。

兎は「USAGI」で、「USAのGI」というアナグラムの遊び。2023年夏の日本を、世界を、まさに「もう、そうするしかない現実」を妄想の世界として描いた芝居だった。

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