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怪物 [シネマ&演劇]

脚本の坂元裕二がカンヌで賞を受けた「怪物」(是枝裕和監督)を見る。子どものいじめの話かと思っていたら、モンスターペアレントの話になり、さらに物語が展開していく。「かいぶつだあれだ」という子どもの遊びのかけ声が見る者への深い問いかけとなっているのに気づく。

担任の先生役の瑛太と、恋人役の高畑充希のいかにも楽しげなじゃれあい。深刻な事態の中での軽いノリ、学校の先生の「いま」を表すプライベートな描写がいい。校長役の田中裕子。暗い雰囲気は学校側にありがちな保身を象徴していて、不気味だった。

格差社会、母子家庭、家庭内暴力、教育現場の過酷労働、性的マイノリティー。いろんな問題が絡み合う社会において、「怪物」のような子どもたちを生み出しているのは、周りを取り巻く親であり、学校や先生であり、無関心を装う隣人、あなたではないのか。そんな鋭いメッセージを突きつけられた映画だった。
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