コロナと潜水服 [読書日記]
奥田英朗の短編集「コロナと潜水服」を読む。何かストーリーが読みたいと思った時は、最近は奥田英朗。たまたま読んでない短編集があり、メルカリで手に入れて読んだ。
タイトルになっている作品は、まさにコロナ自粛期間の真っ只中に書かれた一編。どこで感染るかわからない未知のウイルス。世界がパニックになった4年前を思い出す。読みながら、忘れていた不安な気持ちが蘇ってきた。考えてみれば、あの時の在宅ワークはすっかり会社に定着し、ズーム会議、ズーム飲みも普通になった。作品を読みながら、過去のこととしてコロナの時代を読んでいるのだ、客観視できるようになったのだと時の流れを感じたし、感染症と戦ってきた人類の歴史、人類のしたたかさを改めて思ったりした。
どの作品も日常生活でありそうなシチュエーションを「奇想」でもって、予想外の方向へ展開していく。でも最後は、「そうだよね」という暖かなところにおさまる。真っ当な人生の考え方、愛のあるストーリーテラーだと思った。
巻末に作品中に出てくる楽曲のプレイリストが付いていた。QRコードを読み込むと、Spotifyに飛び曲のさわりが聞けるという趣向。面白い試みだと思った。
2024-02-17 10:28
nice!(5)
コメント(0)
コメント 0