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暇と退屈の倫理学 [読書日記]

國分功一郎さんの「暇と退屈の倫理学」を読む。ハイデッガーやニーチェら哲学者の言葉を批判的に論じながら、暇と退屈が抱える問題点を探る。論理的な思考の進め方が明晰で楽しい。


動物と人間の違いを語る第6章の人間学が秀逸。動物にはそれぞれの視界があり、時間がある。「環世界」という概念で、生き物によって生きている空間や時間軸が変わるという考え方にいたく感動した。人間は「環世界移動能力」が高いという特徴があり、それが動物との違いであると指摘する。


人はいつしか「なんとなく退屈」して「気晴らし」を求める。退屈するのは贅沢であり、退屈する間もなく労働に汗を流す人もいる。ただ世界が平和で皆が豊かになればなったで(そんなことはあり得ないだろうが)、人は退屈し興奮を求めて争いの場を作り出す。結論は消費社会における現代人の退屈に言及する。人は消費ではなく、浪費をすべきで、それこそが気晴らしであるという。


暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

  • 作者: 國分功一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/12/23
  • メディア: Kindle版

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