芝居の面白さ、教えます 井上ひさしの戯曲講座<海外編> [読書日記]
井上ひさしさんの戯曲講座、面白かったので「海外編」も読む。最初に取り上げたのは、かの有名なシェイクスピア。例によって様々な方向へ脱線しながら蘊蓄を存分に語る。読めば、「いや、演劇は素晴らしい」と思う。
シェイクスピアの生没年は、ヒトゴロシ(1564)イロイロ(1616)と覚える。ただ、ウィリアム・シェイクスピアという人物が本当にいたのかどうか、実はわからないのだとか。古来、フランシス・ベーコン、クリストファー・マーロウなど別人説がいくつも語られてきたという。作品はいくつかのプロットが同時に進行し、最後には全てが見事に解決する。井上さんは「ハムレット」とチェーホフの「三人姉妹」を挙げて、世界演劇史の奇跡としている。
To be,or not to be,that is the question.ハムレットの有名な独白は何と訳すべきか。坪内逍遥以来、福田恒存、小田島雄志ら多くは「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」としているが、井上さんは前後の文脈から「成り行きに任せるか、それとも自分で動き出すか、それが問題だ」と訳すのが正解ではないかと言っている。ハムレット、ちゃんと読んでみよう。
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