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兎、波を走る [シネマ&演劇]

NODA・MAP第26回公演「兎、波を走る」を博多座で見た。高橋一生、松たか子、多部未華子ら人気俳優が出るとあって大入り。2度目の野田秀樹作・演出作品だったが、一言で言えば野田秀樹のアタマの中を見せられた、ぶちまけられたという感じ。言葉遊びと記憶と記録が混然となった「野田ワールド」が展開した。

不思議の国のアリスが下敷き。兎を追ってどこかへ行ったアリスを連れ戻そうとする母親が、「妄想するしかない世界」に迷い込む。「もう、そうするしかない現実」と行ったり来たりしながら、不条理な話が進む。

たぶん野田が敬愛する?ブレヒト、チェーホフをもじった劇作家が登場し、劇中劇のような世界を作り出す。成田闘争、過激派のよど号ハイジャック、北朝鮮による拉致事件、AIとVRの世界が舞台に映し出され、時空は螺旋階段のように捩れていく。

兎は「USAGI」で、「USAのGI」というアナグラムの遊び。2023年夏の日本を、世界を、まさに「もう、そうするしかない現実」を妄想の世界として描いた芝居だった。

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