84歳、仲代達矢主演、小林政広監督の作品を試写会でみた。シェイクスピア4大悲劇の一つ、「リア王」の物語を現代に置き換えて、老いた名俳優の芝居への熱い思いを描く。


タイトルのとおり、海辺が舞台。波打ち際、砂浜でのロケが主だったが、まるで舞台で芝居を観ているような感覚にとらわれた。仲代が語ると、そこが舞台になってしまう。シェイクスピア俳優、仲代の演じる認知症老人は、さすがにリアル。黒木華はもちろん演技派だが、今回の役柄にはもっとやさぐれ感があった方がよかった。ちょっと品が良すぎたかな、と思う。


自分には(役者には)思い出はいらない、観客の思い出の中にいることができればいいんだ。作品の中での一言は、仲代の気持ちそのままなのだろう。