知人が企画に携わっていたので、明治大学駿河台キャンパスのグローバル・フロントであった「多様性を考える日仏討論会」を聞きに行った。日本では性同一性障害という病名が先行し、性別転換を望む人たちへの社会の理解は進んでいないのが現状ということなどを知った。



パネリストは、渋谷区の同性パートナーシップ証明書発行に携わった活動家の杉山文野さん。ライターの畑野とまとさん、東大教授の安冨歩さん、仏の社会学者カリネ・エスピネイラさん。杉山さんは、フェンシングの元女子日本代表で、幼いころから自分の性に違和感を抱いていた。世界放浪しても性別から逃れることができなかったと、自己紹介で話した。乳房を切除しホルモン注射をうち、外見はもちろん話し方も男性だが、戸籍は女性だという。



安冨さんは、50歳くらいまでは普通の男性として生きてきた。女性服を着ると安らいだ経験から、男性として生きるのを拒絶した。その途端にメディアから脚光を浴び、それまでの研究も注目してもらえるようになった。性別転換はしていないが、トランスジェンダーの人々というくくりではなく、むしろトランスの人々を「変態」などと差別する側こそグルーピングするべきだと、価値観の転換を訴えた。



性同一性障害の性別の取り扱いの特例に関する法律http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO111.htmlに定められている性別変更の条件が障壁になっているという。男女という区別を超えて、多様性を認める寛容な世界を実現できないか。差別がはびこる世界へ向けて、地道に理想を訴え続けることが大事だと思った。