アングラ演劇を若手演出家が読み直す東京芸術劇場のシリーズで、福原充則演出の「秘密の花園」をみた。唐十郎が本多劇場のこけら落としのために書き下ろした。新築の舞台を水浸しにした伝説の作品だ。


日暮里のアパートの一室。ホステスいちよ夫婦に客の青年アキヨシが絡み物語が展開していく。洪水、菖蒲湯、坂道、自転車、草笛-イメージの連鎖。独特な色気のある寺島しのぶ、父・柄本明が初演した役を演じた柄本佑、ナレーションではないナマの田口トモロヲを初めて見た。


さすがにテント芝居の、あの猥雑さは少し足りなかったが、あのバイオリンのメロディーが響く、衝撃の場面、クライマックスでは、背筋にゾゾッとくる、エクスタシーのような感覚を味わった。言葉では言い表せない、やるせない気持ち、やはり傑作戯曲だと思った。