別役実作、鵜山仁演出の「この道はいつか来た道」を下北沢駅前劇場で見た。金内喜久夫と平岩紙のふたり芝居。全一幕50分、これまで見た芝居の中で最も短い上演時間だったが、濃密な言葉のやり取りで人間らしく死ぬとはどういうことなのかを考えさせられた。

ポリバケツや電柱に話しかける、滑稽な場面から始まり、ホームレスのような男女が路上にゴザを敷いて茶飲み話をする。会話の中で二人が顔見知りでホスピスから逃れてきたこと、余命が幾許も無いことなど、関係性が次第に明らかになっていく。

病を得た人の残りの人生を安らかなものにと欧米で考え出されたホスピス。でも、それって人の最期として果たしてどうなの? 痛がったり苦しんだりして死ぬ自由さえ、現代人には許されないのか。施設ではなく自宅で最期を迎えたいという気持ちとも通じる思い。自分なりにどんな最期を迎えたいのか、いつか考えなければならない時が来るだろう。