作・演出松尾スズキ。大人計画の「日本総合悲劇協会」ユニットによる「業音」を東京芸術劇場シアターイーストでみた。NHKの時代劇「ちかえもん」や、エッセーでファンになった松尾スズキ。一度舞台を見たかったのが、ようやく実現した。


15年前に荻野目慶子ヒロインで初演した話題作。9・11同時テロや高齢者問題、サラ金など、当時の時代背景を感じさせるが、内容は悲劇的場面に人間のおかしさを見出し、その「業」を描く。松尾スズキの頭の中をそのまま舞台にしたのではないか。先月まで新聞連載していたエッセーを思い出した。やたら「×んこ」という言葉がセリフに出てくるし、お尻丸出しの場面も出てくる。


でもそれが下品ではなく、必然性があるのが不思議。踊り子が舞う場面転換はなかなかしゃれているし、セットと合わせ松尾スズキの美学のようなものが感じられた。


主演の演歌歌手役の平岩紙はさすがの熱演。宮崎吐夢、皆川猿時も当然ながら存在感があった。