ボクシングの激しい打ち合い、つい手に汗握って熱くなってしまった。映画だと分かっていても、血潮が飛び顔が腫れる場面が続くと、迫力に圧倒される。因縁の相手、ユウジとの壮絶な試合。ケンジとの宿命の対決。憎しみを超えたシンジの闘争心むきだしのファイトがまぶしかった。


寺山修司が生きた戦後、昭和の時代。様々な問題が噴出している3・11後の日本に、寺山のつづった物語はどんなメッセージを発するのだろう。そんな興味で作品を見たが、結局「つながり」というのが一つのキーワードだった。友だち、親と子、人と社会、それぞれがつながりたがっていて、できないでいる。登場人物それぞれのこれから、未来は、不安の中にある。「荒野」を歩き続けるしかない。