Project Nyxの第18回公演を東京芸術劇場シアターウエストでみた。水嶋カンナプロデュース。寺山修司作、天井桟敷の代表作を女性キャストだけで演じる。綾野アリスによると、「きれい系アングラ劇」。確かに「美女」たちの競演で艶めかしく、その分猥雑さは減殺された。

宇野亞喜良の舞台美術、金守珍の演出、黒色すみれのアコーディオンとバイオリン弾き語りが中世の世界へ誘う。主人と奴隷、支配と服従という関係を役者たちは演じるが、結局は人は欲望の奴隷になっているという現実を描いているのだろう。

宮沢賢治のイーハトーブを舞台としているのもちょっと驚いたが、いろいろなキャラクターが出てくるのも面白い。存在感があったのは小川碧水(すみな)が演じた乳搾り女のヒルダ。肢体をさらしての演技、そでのところで搾乳を続ける出ずっぱりのシーンは記憶に残った。浅草ロック座ストリッパーの若林美保の女神アルテミス、空中ぶらさがりパフォーマンスはみごとだった。