「ふじのくにせかい演劇祭2019」を見に静岡市に行った。日本平の麓、舞台芸術公園野外劇場有度であったのは、唐十郎作、宮城聰演出「ふたりの女 平成版ふたりの面妖があなたに絡む」。演劇祭のオープニング作で、駅と会場を結ぶバスが出たり、地元のもてなしがあったり、お祭り気分の中で、思った以上の人が集まっていた。



劇団第七病棟が初演した芝居。精神病院の患者と医師の愛憎劇に、患者の頭の中の妄想が絡み合う。奇妙な性癖や症状の登場人物。正常と異常の境目がぼやけ、夢と現実が混ざり合う。そもそも正常とは何か。異常な状態こそ正常ではないのか。そんな問いかけにも見える。



午後6時開演。日中から薄暮、そして闇へ。震災の流木のような足場の悪い舞台装置と、自然の樹林が作り出す背景。叫びとともに闇に消える女は悲しく、砂の上を這いずる女からは執拗な愛情を感じた。