大沢在昌さんのアクション・ハードボイルド。美しき妻であり母親が冷徹な暗殺者として、悲しき真実に迫る。

かつて新宿鮫シリーズにはまったが、今回は女性が主人公とあって少し趣が違った。それにしても大沢さんの銃器の知識の豊富さには驚かされる。ガンマニアとして、東南アジアなどで実際に射撃したりして、長年取材してきたと、聞いたことがある。グロック36だの、コルトM1911だの、読む方ももう少し銃の知識があれば、もっと物語を楽しめたかも。屋内射撃場には、強力な換気扇が不可欠で、それは銃を発射すると、有害な火薬の燃焼ガスと、銃弾の鉛の破片とガンオイルが放出されるからという。

オッカムの剃刀という言葉を知った。複雑な理由をつけようとしても、物事はほとんど単純な理屈で動いているといった意味らしい。

ライアー (新潮文庫)

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: 文庫