最相葉月さんのドキュメンタリー。河合隼雄、中井久夫という心理学と精神医学の大家の足跡をたどり、心の病の治療最前線を描く。


通常カウンセラーと患者という名称を使いがちだが、作品ではセラピストとクライエントと呼ぶ。


箱庭療法の良さは、言葉でカウンセリングできない人と物語を共有できること。日本人は西洋のように物と心を区別しなかったから、心だけを採り上げて言葉にするのが苦手。言葉でカウンセリングできない人と物語を共有できる箱庭は、日本人向きだという。


かつて多かった対人恐怖症はごくまれになり、その代わりに「引きこもり」が増えた。悩めない、悩みが何なのか分からない若者が増えていて、ただムカっとする、主体性が希薄なケースが多いという。時代とともに心の病も変わってきている。





セラピスト (新潮文庫 さ 53-7)



  • 作者: 最相 葉月

  • 出版社/メーカー: 新潮社

  • 発売日: 2016/09/28

  • メディア: 文庫