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自民党 価値とリスクのマトリクス [読書日記]

中島岳志さんがWEB連載したものをまとめた一冊。安倍首相はじめ石破、菅、小泉進次郎ら自民政治家9氏のことば、著作から、その政治家の実像を読み解いている。

縦軸にリスクの問題、横軸に価値の問題を置き、分析する手法。リスクは、大きな政府を指向する「リスクの社会化」か、自己責任型の社会を目指す「リスクの個人化」。価値は、個人の価値観の問題に介入・干渉を強める「パターナル」か、多様性に寛容で権力的介入を少なくする「リベラル」。従来の右、左というイデオロギーではなく、こうした座標軸を用いた4類型で、どういった政治家なのかを分析する。

安倍首相の項は秀逸。政治家としてのスタートから「価値」の問題に関心が集中していて、アンチ・リベラルで一貫して日米安保強化を進める。リスクの問題は、徹底した行革を掲げているものの、熱心ではない。政治家は、たとえ嘘をつくことになっても、心情倫理として問題があっても、責任倫理として結果責任をとれば免罪されるという、祖父岸信介ゆずりの思考を受け継いでいる。よく指摘される、その場しのぎのごまかし、不誠実さは、確信犯の言動である。なるほどと思った。


自民党 価値とリスクのマトリクス

自民党 価値とリスクのマトリクス

  • 作者: 中島 岳志
  • 出版社/メーカー: スタンド・ブックス
  • 発売日: 2019/05/30
  • メディア: 単行本



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