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街とその不確かな壁 [読書日記]

村上春樹の久しぶりの新刊「街とその不確かな壁」をようやく読了した。春に買っていたのになかなか手がつかず、今年のノーベル文学賞の発表日に合わせるように読み終えた。新聞では受賞を予想した特集もちらほら見かけたが、結局今年も空振りだった。ベケットの再来と呼ばれる北欧の劇作家に掻っ攫われた。

若い頃に書いた中編を書き直したという作品。世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドの世界をさらに書き込んだという。若い頃にはまだ書ききれなかったが、作家として熟練を重ね、ついに納得のいく作品に仕上がったと、新聞のインタビューでは述べていた。

現実と虚構が入り混じった世界。村上の作品にはよくある。これも現実の問題を浮かび上がらせる(炙り出す)ために虚構のもの(夢の世界)を敢えて持ってくるのだという。自我と影、死者と生きている私たち。過去と現実と未来。いろいろな思いが胸に去来する作品だった。


街とその不確かな壁

街とその不確かな壁

  • 作者: 村上春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2023/04/13
  • メディア: Kindle版



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