ナディアの誓い [シネマ&演劇]
2018年のノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラドさんのドキュメンタリー映画を試写でみた。イラク北部でISIS(イスラム国)の襲撃を受け、性的暴行をされながらも脱出し生き延びた23歳の彼女。ヤジディ教徒への迫害を世界に訴えるため、自ら広告塔となり国連親善大使となるまでの道のりを描く。
フセイン時代からクルドへの弾圧はあったが、ISISになって異教徒への迫害は言語を絶するほどエスカレートしたらしい。ヤジディ教徒の存在についてはノーベル平和賞絡みで初めて知った。カナダや英国の議会で話し、ニューヨークの国連本部でもスピーチする機会を得る。セレブ弁護士として有名なジョージ・クルーニーの妻アマル・クルーニーが関心を持ち、米国メディアにも取り上げられるようになる。
日本国内ではこれまで情報が少なかったこともあり、ヤジディ教がどんなものかという説明が欲しかったが、必死に訴え続ける彼女が民族にとって唯一の希望の灯となっている現実を知った。難民として離散したヤジディ教の人々が故郷に帰れる日は来るのか。いろいろと批判のある平和賞だが、世界がこうした問題を認識する契機を作ったのは意味のあることだ。
THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―
- 作者: ナディア・ムラド
- 出版社/メーカー: 東洋館出版社
- 発売日: 2018/11/30
- メディア: 単行本
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