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世界史とつなげて学ぶ中国全史 [読書日記]

隣の大国・中国は好き嫌いにかかわらず、ずっとこれからも付き合っていかなければならない国だ。新型コロナでグローバル経済のあり方が根本から問われているが、日本を取り巻く中国、韓国、米国といった近しい国々との関係は我々の生活に直に影響する。こうした基本構造はこれからも変わらないだろう。

付き合うには相手のことをよく知ること。京都府立大の岡本隆司教授の書いたこの1冊はわかりやすく、中学・高校レベルでストップしていた中国史の知識をアップデートするのにお手頃だ。今の習近平の中国は明、清の時代から基本構造は変わっていない。それぞれの地方、省が一定の力を持ち多様な民族が拠点とした歴史がある多元的な国で、かつては南北、現在は東西で経済的、社会的に大きな乖離がある。中央政府の意向が行き渡り国民が「右へならえ」しがちな日本とは全く異なる。歴史的に見ると、単一的均質な社会構造だった日本とは違うのだ。中国という呼び方も清の後、中華思想から名付けたものだという。それまでは英語のchina、シナが普通だった。

さらに明治維新で脱亜入欧の思想から西洋史的な世界観を導入した日本人。西欧の視点で書かれた世界史の立場から中国を見るようになってしまった。欧米と付き合うのはそれで良いが、中国を見るときはアジアの視点、歴史の物差しが必要なのだ。日本は西欧ではない、アジアの国なのだということを忘れてはいけないと思う。IT革命で情報が飛び交うようになり、世界の隅々のことが分かるようになったせいもあるが、近視眼ではなく、長い目、歴史的な視点で世界のものごとを見るようにしたい。


世界史とつなげて学ぶ 中国全史

世界史とつなげて学ぶ 中国全史

  • 作者: 岡本 隆司
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2019/07/05
  • メディア: Kindle版



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