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むずかしい天皇制 [読書日記]

社会学者の大澤真幸さんと憲法学者の木村草太さんの対談本を読む。眞子さんのこともあって、改めて天皇制について考えてみたかった。若い頃は天皇制反対を叫ぶのがリベラルな若者のトレンドで、階級社会、社会の差別構造の根幹にあるのは天皇制だと考えていた。今もその構造は変わらないと思うが、ただ天皇制を廃止するべきだとは思わない。政治が劣化する中で、平成天皇のリベラルな発言のように象徴天皇が居てよかったと心底思うことがあるからだ。この本でも同様の認識があり、何度か頷くことがあった。以下は頭に残ったフレーズ。

神話に関する定義。「片方が非真実だと知っていて片方が知らない場合を虚偽といい、両方が非真実だと知っているとフィクションといい、両方が非真実だと知らないと神話という」。誰かが嘘だと知ってしまうと神話は虚偽になり、神話ではなくなる。からくりを知ってしまうと機能しなくなる。
天皇制を近代的制度に整える際に側室制度を野蛮なものとしてやめた。万世一系を可能にしていた条件を捨てたのだから存続が困難になるのは当然。
天皇、皇族だけは特別な身分。歴史を振り返ると、日本社会における身分とは、基本的には天皇からの距離だ。公家は朝廷に仕える身分で武家に対して威張れる根拠はここにある。公家の中でも殿上人でなければ大したことはないとされる。明治維新は身分を無にしたが、身分を生み出す源泉としての天皇だけは排除しなかった。


むずかしい天皇制

むずかしい天皇制

  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2021/05/25
  • メディア: Kindle版



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