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パンとサーカス [読書日記]

島田雅彦さんの新刊「パンとサーカス」を読む。西日本、東京・中日、北海道新聞に連載した小説。暗愚の安倍から菅政権の頃、閉塞感に覆われた国を舞台にしたインテリジェンスサスペンス仕立てのエンタメ政治小説だ。コントラムンディ、ラテン語で「世界の敵」をキーワードにテロと革命の夢が疾駆する。

どこまで本当か分からないが、CIAやKGBの活動はよく小説・映画で知っている。でも中国国家公安部の暗躍はあまり意識したことがなかった。今や軍事や経済で米国を凌駕しようとする中国。ITはじめ産業スパイを主とした工作員は日本中にウヨウヨいるのだろう。

戦後、米国の軍隊が駐留し実質的には属領のような国になった。政治的主体性はなくいつも米国の顔色を見ている。以前読んだ白井聡の「国体論」の論旨をストーリー仕立てにしたのが、島田さんのこの物語だと思った。

・「善きサマリア人法」とは、急病人などを救おうと善意の医療行為をとった場合、失敗してもその責任は問われないというもの(日本では適用されにくい)。
・ユロージヴァヤとは、ロシア語で「聖なる愚者」。
・奇跡を待望する人は多いし、愚か者もうんざりするほど多くいるが、奇跡を起こそうとする愚か者はほとんどいない。ゆえに奇跡は永遠に起きない。


パンとサーカス

パンとサーカス

  • 作者: 島田雅彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/03/23
  • メディア: Kindle版



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