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吸血姫 [シネマ&演劇]

雑司ヶ谷・鬼子母神の紅テントで、唐組30周年記念公演第1弾と銘打った舞台をみた。この演目、四十数年ぶりの再演という。初演当時のポスターも復刻していたが、注目は療養中の唐十郎の娘、大鶴美仁音(みにょん)と、息子の大鶴佐助がメーンキャストとして出演しているところだろう。


引っ越し看護婦、海之ほおずき役の美仁音はきりっとした目がいい。やはり父譲りのDNAなのか。看護婦の白衣、大陸の川島芳子に扮した軍服、そして娼婦役まで、テント舞台に立つその姿が映える。佐助の方も愛染病院の若院長をテンションMAXで演じていて面白かったし、好感を持った。


愛するのではなくて、あなたのお世話がしたい。お世話の都・上野の森、関東大震災、満州とイメージの連鎖、妄想が展開していく。久保井研、藤井由紀といったテント育ちの役者陣に若手のパワーが加わって、久しぶりに躍動する唐芝居を堪能した。

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吸血鬼の英文法

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  • 作者: カレン・エリザベス ゴードン
  • 出版社/メーカー: 彩流社
  • 発売日: 2018/05/22
  • メディア: 単行本



吸血鬼百科 復刻版

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  • 作者: 佐藤有文
  • 出版社/メーカー: 復刊ドットコム
  • 発売日: 2019/02/16
  • メディア: 単行本



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モリのいる場所 [シネマ&演劇]

画家熊谷守一を知ったのはことし1月の回顧展。シンプルでカラッと明るい絵の虜になった。その画家夫婦の映画というので、さっそく銀座シネスイッチに見に行ってきた。守一94歳と妻秀子76歳のちょっと風変わりな生活という謳い文句だが、山崎努演じる守一に見入ってしまった。

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自宅の庭の虫や、池の魚を観察し、外に出ることなく創作を続けたという。地面に這いつくばって蟻の行列をじっと見る。手のひらの石を凝視する。しかし決して奇人というわけではない。ただ観察に没頭している。


超俗の人、画壇の仙人と呼ばれたらしい。でも近くにマンションが建つと、庭に日が当たらなくなり、絵を描くのに支障が出ると、庭の改造を考える。絵を描くことが人生で、すべては絵のため。仙人ではなく、ただの画家でいたかったということだろう。樹木希林演じる妻は、それを分かっていて支えている。老後にいくら必要なんて考えずに、好きなことをして生きていく。そんな人生が理想だなと、あらためて思う。

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ジョルジュ・ブラック展 [アート]

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汐留のパナソニック・ミュージアムでブラック展をみた。絵画だけでなく、彫刻、陶芸、ジュエリーのデザインまで、自らの世界観を展開。パリの華やかできらびやかなムード、おしゃれなデザインの展示が面白かった。


展示も凝っていて、のれんのようなものでコーナーを仕切り、光のパフォーマンスで床に模様を遊ばせる趣向も。ギリシャ神話に題材をとった作品が多かった。トランプのクラブのような形をした「ペリアスとネレウス」のリトグラフの絵はがきを記念に買った。


新橋駅から近いところにある美術館だが、初めて訪れた。企業のミュージアムは結構あるが、この手のしゃれた施設は東京ならではかも。かつての業績不振を乗り越えたパナソニックの好調さを象徴するようなミュージアムだった。

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孤狼の血 [シネマ&演劇]

「アウトレイジに対する東映の答えですね」と古舘伊知郎がコメントしていたので、少し期待して丸の内東映に見に行った。アウトレイジ、仁義なき戦い、相棒の「いいとこどり」という感じ。アウトレイジのドライな画面に対して、義理、人情、ウエットな空気感。東映やくざ路線全盛のころナマでみた人たちには、それなりの感慨があるかもしれないが、たけしバイオレンスを見た世代には、二番煎じ感がぬぐえなかった。

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ストーリーで一番の違いは、「裏切り」がない点かもしれない。みんなが忠実で、やくざ世界のドロドロ感に欠けた。エロスの面でも宣伝ほどに見所はなく、期待外れ。役者はみんな熱演なんだけどなあ。

江口洋介は渋くてかっこよかっただけに、もう少し彼にまつわるストーリーが欲しかった。原作は柚月裕子、白石和彌監督。


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